翻刻
【右丁】
のむくひそやなかされ給ふへきせんし
すてにくたされあすのたつのとき
にみやこを出させたまひてさつまの
かたへとさたまりぬかゝる時は我身
の関白とある事よとてたちたまふ
かたへのくきやうてん上人たちこゝに
たゝすみかしこにたちあゝあはれ
事やしんのゑ【白居易の「琵琶行」に詠まれた「潯陽江」のことか】のほとりにて月日を
をくりけんためしも今こそおもひし
られたりとなみたをなかしたまひ
【左丁】
けりひやうゑのすけ殿と申ははりま
の三位のまゝ子なりけれはおほえにて
なけれともしいかくはんけん【詩歌管弦】のみちにも
くらからすかたゑの人〳〵この人をこそ
人もたのみつれ花の本月のまへいかはかり
さひしかるへきとてをの〳〵袖をぬら
しけるとりわけなかつかさのさんみの
中将と申人ことに名残をしみてしゆて
むのまへにてたかひになこりの袖を
ひきちかへ【交差させる】なくよりほかの事そなき