翻刻
一生(いつせう)の悪名(あくめう)は。ぬけん地獄(ぢごく)へ落(をち)入
もの也と。高らかに読上(よみあげ)給へば。焔王(ゑんわう)
重(かさ)ねて宣(のたま)ふは。此 性悪(せうわる)を当分(とうぶん)
地獄へ落(おと)しなば。獄卒(ごくそつ)共を。ちよろ
まかし。いか成ことかふつくらん【?】。地獄に
も置れず。極楽へは猶やれず
まず〳〵娑婆(しやば)へ追ひ返し。さいたら
畑(ばたけ)に迷(まよ)はすべし。此上は出直して
来り候へ。又 汝(なんじ)が娑婆(しやば)にて念頃(ねんごろ)せし
伏谷村(ふしやむら)の総次(そうじ)といふは。我(わが)手下(てした)の獄卒(ごくそつ)
のうてん鬼(き)といふ者を。かりに娑婆(しやば)へ
遣(つか)はして汝と契(ちぎ)らせ其方が胎内(たいない)に
今 孕(はらみ)たるは。のうてん鬼(き)が手の窪(くぼ)の
塊(かたまり)なり。出産(しゆつさん)して見るならば汝