翻刻
此廿四日尾州も震動ありといへとも通例の事也
四月十日大風あり暁七ッ時より朝巳刻刻比まての
ことなり所々破損少ならす御れとミつからなせる
わさわひならねハ
世にすめハ天のさかにもあふ風の
手すさみいとゝ草屋にそみる
興せしも山浅海深からぬ
たれはにそあれと有かたし
花井氏惣助と称ス
右一冊花井氏之書を以て写ス
信濃国大地震記
信州十郡 佐久 伊那 高井 埴科 小県
水内 筑摩 更科 諏訪 安曇
そも天地不時の変動也陰陽の戦なり天に有てハ雷雨と成
地に蟄してハ地震をなす神仏の應護にもこれをよく
禦く事かたしこゝに弘化四未年三月廿四日夜亥の刻より
信州水内郡の辺より忽然と大地震して山崩し水を
ふき家れ火出て焔大紅蓮のことく人馬の損失夥し
他所遠国の縁者安否を尋ね死亡を見て嘆き憐む事
普通ならすされは今地名を悉く挙遠近に達し且は
後代の伝語になして人の後覚にもならんかと筆に誌す
ことハ天災を免れし冥加恐悦にこそ抑此地震先善光の