翻刻
御寺の辺殊二甚しそれ地しんといふより夥敷震動し
大山をくずし深川を埋め土中より火焔のことき物吹出し
御殿宝蔵寺中町屋ハいふに及ハす倒れ潰れ或ハ地にめり込或ハ大磐石にうたれ僧俗男女老少の死あげかぞふべからず
地火一時に八方へちり住居不残焼亡し廿七日迄の辛苦
筆紙に尽しかたし是より北ノ方大峯黒ひめ山戸隠山
上松北郷しんかうじ福岡上野西条吉村田子平手宝飯戸玉
北草落影小高大高柏原塩尻白川せき川の御関所辺
より越後高田御城下辺二十四日よりゆりはじめ廿九日
午の刻比烈しく強く震り土蔵寺社人家を倒し大山崩して
田畑を埋川あふれ大水出て押流し死人怪我人夥し
就中長沢村と申小村にて死失の者六七十人有り皆土に埋
り手足のミ見へたりこれハ善光寺より二三日速く震動に
及へり同寺より東の方ハこんとう岩間の御所中の御所あらき
此辺より百余村殊にきびしく姥捨山の今更に親に子を捨子ハ
親を尋なから大地に落入火焔に眼くらミ地ハ裂て泥を吹出し
山はくずれれて川を埋平地となり逃迷ふ人々夜中の果
煙に方角を失ひ谷に落川に溺れ木石に打れ水火に悩ミ
牛馬の損しも夥し右木嶋大塚馬嶋こしまた水沢曲尾寺田
中辺ゟクニシナ郡に至り松代の御城辺厳く度々震動し
廿九日の朝ゟ晦日の夕方迄強く震ひ巌石を崩し安
庭村山平村の間岩倉山と云高山半分両端崩一方ハ四十丁町