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コレクション: コレクション2

BnF. Département des manuscrits. Japonais 5602 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 5602 - ページ 11

ページ: 11

翻刻

行吉水法印(きやうよしみづほふいん)宗信(そうしん)が方(かた)に至(いた)り給ふに。諸卿(しよきやう)うち集(つと)ひ出家(しゆつけ)遁世(とんせい)の御評議(ごひようぎ)最(さい) 中(ちう)なりしかは。正行公(まさつらぎみ)臆(をく)する色(いろ)なく。法印(ほふいん)に向(むか)ひ給ひ。ほぼ承(うけたまは)れば當山(たうざん)伺(し) 侯(かう)の諸卿(しよきやう)。退散(たいさん)隠遁(いんとん)の思召(おぼしめし)有(ある)よし。正行(まさつら)に於(おい)ては甚(はなはだ)心得(こゝろえ)がたく候。先尅(せんこく)臣(しん)への 御遺勅(ごゆいちよく)には。新帝(しんてい)を守立(もりたて)如何(いか)にもして。尊氏(たかうし)兄弟(けいてい)を亡(ほろぼ)し再度(ふたゝび)京師(みやこ)へ還幸(くわんこう) なく奉れよと。呉(くれ)〻(〳〵)したゝめ給へり。然(しか)らば諸卿(しよきやう)へは猶(なを)以(もつ)て朝敵(てうてき)追伐(つひばつ)の御遺(ごゆい) 勅(ちよく)にて有べきに。無下(むげ)に言(いひ)甲斐(がひ)なき思召(おぼしめし)にて。返(かへす)〻(〳〵)も口惜(くちをしく)候。但(ただ)し諸卿(しよきやう)へは新(しん) 帝(てい)を捨(すて)ても出家(しゆつけ)遁世(とんせい)し。朕(ちん)が後世(ごせ)菩提(ぼだい)を吊(とふら)へと御遺勅(こゆいちよく)有しにや。正行 未(いま)だ 幼若(ようしやく)には候へど。一命(いちめい)を新帝(しんてい)に献(たてまつ)り。幾度(いくたび)も大敵(たいてき)に駈(かけ)向(むか)ひて忠戦(ちうせん)を励(はげ)み。逆臣(げきしん) を誅伐(ちうばつ)して。君(きみ)を再度(ふたゝび)花洛(くはらく)に還幸(くわんこう)なし奉らん所存(しよぞん)に候へば。隠遁(いんとん)退散(たいさん)の 御詮議(ごせんぎ)ならんには。速(すみやか)に退(しりそき)候べし。將(はた)朝敵(てうてき)征伐(せいばつ)の御評議(ごひやうき)ならば。恐(おそれ)ながら御(ご) 末席(ばつせき)を汚(けが)し。是非(ぜひ)の御高論(ごかうろん)を承(うけたまは)り度(たく)候。法印(ほういん)宜(よろ)しく示(しめ)し給へと。礼儀(れいぎ)を 正(たゞ)し弁舌(でんせつ)爽(さはやか)に宣(のたま)ひける。其(その)さま相貌(さうばう)衆(しう)に秀(ひいで)。言語(ごんご)人を動(うごか)し給ふ。並居(なみゐ)る