翻刻
に聞(きこ)へ混軸(こんぢく)に微(てつ)【徹?】し恐(をそろ)しかりし戦(たゝか)ひなり木下が兵士(へいし)には蜂須賀(はちすか)小
六 堀尾(ほりを)茂助 加藤(かとう)虎之助 福嶋(ふくしま)市松 片桐助作(かたぎりすけさく)等(ら)の勇士(ゆうし)我おとらじ
と切て廻(まは)れば磯野(いその)が従兵(じうへい)にも荻野(をぎの)弥太郎 上(うへ)村新 吾(ご)宮本彦(みやもとひこ)治
郎 飯森(いひもり)三太夫 嶋(しま)田 権(ごん)左衛門なんど皆(みな)一人 当千(とうぜん)の勇夫(ゆうふ)なれば右にあ
たり左にさゝへ鎬(しのぎ)を削(けづり)攻合(せめあひ)て勝負(しやうぶ)の色(いろ)も見へざる所に忽然(こつぜん)とし
て磯野(いその)が備(そな)へ後(うしろ)より乱(みだ)れ立 左右(さゆう)にさつと開(ひら)きなびき裏崩(うらくづ)れして
騒(さは)ぎければ敵(てき)も味(み)方も何(なに)事にやと驚(をどろ)きて見てあれば六尺 有余(ゆうよ)の
大男 黒(くろ)き毛綿(もめん)の糸(いと)にて威(をど)したる具足(ぐそく)を着(ちゃく)し鍬形(くはがた)打(うつ)たる兜(かぶと)
を居首(いくび)に着(き)なし兵器(へいき)は持(もた)ず大 手(て)をひろげて群(むらが)る敵(てき)を片端(かたはし)より
取ては投(なげ)のけ打倒(うちたを)し童(わらんべ)のつぶて打(うち)をするごとく荒(あれ)にあれて馳(はせ)
巡(めぐ)れば此 者(もの)只(たゞ)一人に薙倒(なぎたを)され磯野が勇軍(ゆうぐん)備(そな)へ乱(みだ)れて見へけるなり