翻刻
木下藤吉郎大きに勇(いさ)み味(み)方を助(たすく)る勇士(ゆうし)を討(うた)すな続(つゞ)けやつゞ
けと下知(げぢ)するにぞ加藤虎之助 真先(まつさき)に馬をかけ出し村雲(むらくも)立たる
敵(てき)の中へおつと喚(をめい)てかけ入ば新 参(ざん)の郎等(らうとう)井上大九郎 主(しう)より先(さき)
へ走(はし)り出て大 長刀(なぎなた)を打(うち)ふつて切立 薙(なぎ)立 戦(たゝか)へば片桐(かたぎり)福嶋(ふくしま)蜂須(はちす)
賀(か)一統(いつとう)堀尾(ほりを)中村の輩(ともがら)我も〳〵と切 廻(まは)れは磯野が従兵(じうへい)さん〴〵に
成て敗走(はいさう)す件(くだん)の勇士(ゆうし)猶(なを)も磯野が残兵(ざんへい)を追(をつ)ちらし一足(ひとあし)も引す
戦(たゝか)ふありさま秀吉はるかに是(これ)をみて味方(みかた)を助(たす)け勇戦(うふせん)するは何(なに)
者(もの)なるぞ名を尋(たづ)ねよと下知(げぢ)すれば軍使(ぐんし)馬を馳(はせ)てかけ来(きた)り
大 音(をん)にて味(み)方を助(たすく)る戦将(せんしやう)は誰(たれ)人なるぞ姓名(せいめい)を報(ほう)じ給へと呼(よば)は
つたり此時 彼(かの)勇士(ゆうし)磯野が従兵(じうへい)嶋(しま)田 権(ごん)右衛門と太刀打(たちうち)して戦(たゝか)ひ
けるが戦(たゝか)ひながら答(こたへ)けるは加藤虎之助が郎等(らうどう)木村又蔵也といひ