翻刻
も終(をは)らずたゝみかけて嶋田を切る軍使(ぐんし)此 戦(たゝか)ひを見 果(はて)ずして引
かへして秀吉(ひでよし)にかくと報(ほう)ず又蔵なんなく嶋田が首(くび)を取て引かへせ
ば加藤虎之助大によろこび馬をかけ出し木村又蔵 天晴(あつはれ)勇戦(ゆうせん)感(かん)
称(しやう)するに言葉(ことば)なし加藤 清正(きよまさ)是(これ)にありと呼(よば)はれば又蔵 謹(つゝしん)で畏(かしこま)り
某(それがし)が老母(らうぼ)三日 以前(いぜん)に空(むま)しく成り跡(あと)の弔(とふら)ひかたのごとく執行(とりをこな)ひ御
目見へのため参(まい)りし所 合戦(かつせん)の真最中(まつさいちう)奉公(ほうこう)はじめの手土産(てみやげ)漸(やうやく)に仕候
と腰(こし)に付(つけ)たる首(くび)三ツ四ツ差(さし)出しければ清正(きよまさ)いよ〳〵悦(よろこ)び伴(ともの)ふて秀吉に
謁(ゑつ)せしむ秀吉木村が武勇(ぶゆう)を殊(こと)に感(かん)じ軍(いくさ)終(をはつ)て厚(あつ)く褒称(ほうしやう)有べし
とて惣兵(さうへい)を一所(いつしよ)になし長政の旗本(はたもと)を後(うしろ)より責(せめ)付たり
浅井勢(あさいぜい)惣敗軍(さうはいぐん)
織田(おだ)浅井の大 軍(ぐん)入 乱(みだ)れ〳〵討(うつ)つ討(うた)れつ戦(たゝか)ひていまだ勝敗(しやうはい)知(し)れざる