翻刻
朝倉勢を突(つき)しらます三左衛門きびしく下知(げぢ)して取(とつ)てかへせば森(もり)が良(らう)
等(どう)道家(みちいへ)清十郎同助十郎 尾藤(びとう)源内同又八等の勇士(ゆうし)槍(やり)をそろへて
突(つき)立れば朝倉方さん〴〵に成て逃(にげ)行を追詰(をいつめ)切詰 首(くび)を取(とる)事 数(かず)を
しらず三左衛門 味(み)方の小勢なるをかへり見 追捨(おひすて)にして早(はや)く城へ引入んと
する所へ朝倉の後陣(ごぢん)中務丞(なかつかさのぜう)景恒(かげつね)魚住(うをずみ)山 崎(ざき)等(ら)付(つけ)入にせんと追来(おいくる)を
森(もり)三左衛門取てかへし猛威(もうい)をふるふて相戦(あひたゝか)ひ勝負(しやうぶ)の色(いろ)も見へざる所に
浅井長政 横合(よこあひ)より鉄砲(てつほう)を打(うち)かけどつと喚(をめい)て討(うつ)てかゝれば纔(わづか)なる城
兵(へい)前後(ぜんご)の大 軍(ぐん)に取 囲(かこま)れ討(うた)るゝ者 数(かず)をしらず三左衛門 勇力(ゆうりき)也と
いへども続(つゞ)く味(み)方もあらざれば今は是(これ)迄と思ひけん郎等(らうとう)尾藤(びとう)道家(みちいへ)を
左右(さゆう)に随(したが)へ追来(をひく)る多勢(たせい)の中にかけ入 敵(てき)を討(うつ)事廿余人其 身(み)も痛手(いたで)
数多(あまた)負(をひ)ぬれば郎等(ろうどう)に防矢(ふせぎや)射(い)させ鎧脱捨(よろひぬぎすて)腹(はら)十文字に掻(かき)切て終(つい)に