翻刻
【右丁】
一種
日光蚤休(につくはうさうきう)《割書:花|戸》
八葉(はちやう)対生(たいせい)の物(もの)なり是(これ)又(また)日光(につくはう)
の深山(みやま)陰地(いんち)に生(せう)す一 茎(けい)八葉
花(はな)淡黄色(うすきいろ)四 弁(へん)なり以上二
種(しゆ)は根(ね)細(ほそ)くして白色(はくしよく)鬚(ひけ)の如(こと)し
【左丁】
鬼臼(ききう) かさくさ つりかねさう《割書:同名|多し》 つりかねがさ
江戸 染井(そめい)蓻家(うへきや)伊兵衛 著処(あらはすところ)の地錦抄(ちきんせう)に鬼臼(きゝう)の図(つ)を載(の)す今(いま)此物(このもの)絶(たへ)てなし故(ゆへ)に
目撃(もくけき)せす弘景(こうけい)の説(せつ)に《振り仮名:有_二両種_一|れうしゆあり》一種《振り仮名:有_二叢毛_一者|さうもうあるゝもの》最(もつとも)勝(まされり)と云 物(もの)は和産(わさん)詳(つまひらか)ならす時(じ)
珍(ちん)の説(せつ)に丹房鏡源(たんほうきやうけんに)云 朮律草(しゆつりつさう)《振り仮名:有_二 二種_一|にしゆあり》と云 正字通(せいしつう)にも独脚蓮(とくきやくれん)の鬼臼(きゝう)と別(へつ)
なることをいふときは集解中(しうかいちう)にも二種 混(こん)したるやうなり
一種 さんかやう
江州(こうしう)伊吹山(いふきやま)に産(さん)す高(たか)さ一尺 許(はかり)葉(は)に切(きれ)こみなく鋸歯(かゝり)あらく二葉 対生(たいせい)しいひづ形(なり)をなす#1
一種 とちな
下野(しもつけ)日光山(につくはうさん)及(およ)ひ諸国(しよこく)山(やま)の陰(かけ)にあり春月(はる)宿根(ふるね)より生(せう)す一 茎(けい)二 葉(やう)其形(そのかたち)蝙蝠(かふもり)の羽(はね)
を張(はり)たる如(こと)く葉(は)の中に茎(くき)を附(つく)頗(すこふ)る荷葉(はすのは)に似(に)たり其(その)二 葉(は)を生(せう)する物(もの)には花(はな)あ
り甚(はなは)た砕小(さいせう)にして白色二三 萼(かく)後(のち)円(まる)き実(み)を結(むす)ふ根(ね)の形(かたち)黄精(わうせい)或(あるい)は射干(やかん)《割書:ひあ|ふき》
等(とう)に似(に)て一年一 臼(きう)を生(せう)す大さ筆(ふて)の管(ちく)の如(こと)く黄白色(うすきいろ)なり此物(このもの)弘景(こうけい)は今(いま)馬目毒(はもくとく)
公(こう)状(かたち)《振り仮名:如_二黄精根_一|わうせいこんのことし》と云 蘇恭(そけう)は根(ね)《振り仮名:似_二射干_一|やかんにゝたり》と云 是(これ)なり古説(こせつ)に独脚蓮(とくきやくれん)にやくるま
さうを充(みつ)るは誤(あやま)りなりやくるまさうは外麻(せうま)《割書:とり|あし》の類(るい)なり#2
【版心の中央】さんかやう