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―第十五章 上下水道 三三八
るなり。
大正三年施行に係る市内井水々質調査の結果に徴すれば、調査井総数五千百十五井中より良水の湧出ずるものは僅かに
九百七十九井を算するに過ぎずして、尚煮沸若くは濾過を要するものは其の数実に参千八拾五井に達し、其の他の壱千五
拾井は全く飲用に適せざる結果を現せり。
右の如くなるを以て、本市の衛生状態は連年不良に陥り、伝染病死亡患者は、全市死亡者千人に付、大正二年十九人四
分四厘、仝八年六拾六人弐分七厘、仝十二年七十四人八分四厘と言ふが如く、漸次不良状態を増進し、実に憂慮すべきも
のなるを以て、上水道布設の必要は益々痛切に其の促進を感ずるに至れり。此に於てか市は上水道布設の経営を為さんと
欲し、先づ水源地として、地表水又は地下水の何れに依るを得策とすべきかを研究する事となし、大正十三年八月農商務
省地質調査所長に地下水利用に関する調査を委嘱し、専門技術官に於て精細調査を遂け、其の結果に依るときは、或地点
を限り地下水脈の存在は確実なるも、尚精査を遂る手段として鑿孔に依り調査せられん事を望むと結論せられたるを以て
更に地下水及地表水等の可否得失に付ての研究を重ねたる結果、豊川の伏流水に依るものとして、計画を樹て、大正十五
年六月市会に於て水道費三百五万余円の継続費を可決し仝年七月敷設認可申請並に仝起債稟請及国庫県費の補助申請をな
したるに仝年十二月布設認可を得たるにより昭和二年三月事務を開始し続いて水道布設事業の認定を内務大臣に申請せり
又起債に関しては仝年二月内務、大蔵両大臣の許可を得たるにより近く簡易保険積立金の借入をなし又国庫並に県費補助
に対しても其筋の詮議を経て許可の内諜に接するを得る予定なり、斯の如くにして諸般の準備漸く整ひたるにより近く起
工式を挙げ事業の進行を図り昭和四年中に一部給水を見る予定なり。本市水道は前述の如く本市を環流する豊川の伏流水
を水源とするものにして本市を距る一里余の上流八名郡下川村大字西下条三ノ下地先仝川本流の河底に集水埋渠を構築し
仝河畔の送水場喞筒井に導流し仝所より新設送水管路及県道村道を経て東南三十三町を距る八名郡石巻村大字多米に設置
する濾過池に揚水して浄水となし仝所内の高揚卿筒を以て浄水場の東八十間を距る多米の高地に設置する給水場内配水池
に送り是より計量室を経由して自然流下法により本市内並に隣接地に配水する計画なり。
水源地における水質及水量の善良豊富なるは本市水道の誇りとする所にして給水区域内の現在人口は九万に過ぎざるも
水道完成後は急激の発達を来たす見込を以て現計画を十二万人に対する施設とし尚濾過池喞筒等は相当増設の余地を存し
将来人口増殖し十六万に達するも送水及配水管の増設並に相当附加工事を施すに於ては給水に応ずべき設備と為せり。
今期敷設の水管は配水給水を合せ実に九万四千九百六間に達し工事費弐百六十九万円を計上せり工事費内訳左の如し。
水源費 七四、六六五 測量試験費 五七、八〇〇
送水場費 一一一、二〇八 施工事費 三六、〇〇〇
浄水場費 二八七、一四七 残土整理費 一、四六八
送水本管及弇布設費 一四七、六九八 建築費 九九、七四二
給水場費 一六五、六二九 事務費 二九二、一八六
配水管及弇並に布設費 一、一五四、二二九 雑費 一二四、九七一
用地買収費 七五、〇四七 計 二、六九〇、〇〇〇
機械器具費 六二、二一〇
二、下水道
本市の地勢は東方より西方に向つて傾斜すると雖も、人家密接の市街地は、概ね低地部に属すると、市街地内に河川溝
渠等の配置尠なきを以て、自然排水に不便を感じ、従つて一朝豪雨の際は勿論平時と雖も、汚水は停滞勝ちに属す。故に
―第十五章 上下水道 三三九