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コレクション: STAGE9

永代惨話 文化の夢 全 - 翻刻

永代惨話 文化の夢 全 - ページ 14

ページ: 14

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る者(もの)を見受(みうけ)たり、 ○此日(このひ)自身(じしん)と揚(あが)り候 者(もの)も、多(おゝ)かりしかど、折節(をりふし)退潮(ひきしほ)にて揚(あが)り 場(ば)は泥深(どろふか)く、殆(ほと)んど腰(こし)だけもありしといふ、  ○永代橋(ゑいたいばし)の両岸(りやうぎし)に一間四面(いつけんしめん)の焼香場(せうかうば)を建設(たてもう)け昼夜(ちうや)ともに  八宗(はつしう)の僧徒(そうと)、打交(うちまじ)り、読経(どくきやう)、念仏(ねんぶつ)し、又(また)所〻(しよ〳〵)より、請中(こうちう)を結(むす)んで 川施餓鬼(かはせがぎ)を営(いとな)み、或(あるひ)は慈善(じぜん)の徒(やから)、申 合(あは)せ施飯(せばん)又(また)は牡丹餅(ほたもち)、握(にぎり) 飯(めし)など、夥(おびたゞ)しく持来(もちきた)りて、施(ほどこ)しをなす者(もの)あり、又(また)橋(はし)の両岸(りやうぎし)に、  卒塔婆(そとば)を夥多敷(おびたゝしく)建列(たてつら)ねたり、然(しか)し是(こ)れは九月廿日 頃(ごろ)まで、 不残(のこらず)取払(とりはら)ふ様(やう)、申 渡(わた)されたり  ○十九日の朝(あさ)、神輿(しんよ)に神酒(みき)を備(そな)ふる時(とき)、代僧(だいそう)の鼻(はな)より夥(をびたゝ)しく 鮮血(せんけつ)、出(いで)たりしといふ、 ○本所石原(ほんじよいしはら)に住(す)める孫三郎(まごさぶらう)といへる者(もの)、老母(らうば)に祭(まつり)見(み)せんと  て連(つ)れだち行(ゆ)き、永代橋(ゑいたいばし)の北(きた)の方(かた)なる、或(あ)る髪結(かみゆひ)の家(いへ)を借(か) りて、川(かは)に望(のぞ)める所(ところ)より、此日(このひ)の祭(まつり)を見(み)てありしと」、此男(このおとこ)の 語(かた)りけるには、橋(はし)の崩(くず)れ落(をち)しを知(し)らで、跡(あと)より押落(おしをと)され、押(おし) 落(をと)されしと人(ひと)〻のいふは間違(まちが)ひなり、祭(まつり)の橋(はし)を渡(わた)るを見(み) んとする前(まへ)に橋(はし)の上(うへ)は人〻(ひと〳〵)多(おゝ)く群(むらがり)し故(ゆゑ)、東岸(ひかしぎし)は練物(ねりもの)にて 人(ひと)を止(とゞ)め、西(にし)の岸(きし)より渡(わた)る人〻(ひと〳〵)は皆此(みなこゝ)に集(あつま)りたれば崩(くづ)れ し処(ところ)より西(にし)の方(かた)は、人(ひと)の押合(おしあ)ふ事(こと)なかりしなり、偖漸〻(さてやう〳〵)と 窪(くぼ)み入(い)りて、忽(たちま)ちに崩(くづ)れしにあらざれば、結句(つまり)其際(そのきは)に立(た)ち たる者(もの)も立退(たちのひ)て逃(のが)れし者(もの)多(おゝ)かりし、されど、此騒(このさは)ぎの混雑(こんざつ) に板(いた)の間(あひだ)の透(す)きたる処(ところ)に、足(あし)を踏(ふ)み入(い)れ、或(あるひ)は人(ひと)に押敷(おしし)か れて臂(ひじ)を折(お)り、袖(そで)ちぎれ抔(など)してそれが為(ため)、溺水(できすい)せざる前(まへ)に 身(み)を傷(やぶ)り、血(ち)あへぬる人〻(ひと〳〵)も多(おゝ)かりき、女(をんな)の最(い)と艶(つや)ある、髪(かみ)