みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

塩原繁昌記 全 - 翻刻

塩原繁昌記 全 - ページ 11

ページ: 11

翻刻

皆(みな)二階(にかい)造(つく)りの楼(ろう)を構(かま)へて各々(おの〳〵)浴客(よくかく)百有余(ひやくいうよ) 人(にん)を容(いる)るべし都(すべ)て塩原(しほばら)山中(さんちやう)の温泉(おんせん)は客室(かくしつ) 毎(こと)に火爐(ゐろり)を設(まふ)け戸棚(とたな)其(その)外(ほか)俎板(まないた)包丁(はうてふ)摺鉢(すりばち)等(とう) に至(いた)る迄(まて)一切(いつさい)世帯道具(せたいどうぐ)を備(そな)へ置(おき)自(みつか)ら炊(かし)く 者(もの)には貸与(かしあた)へて用(よう)を便(べん)する事なり依(より)て米(こめ) 味噌(みそ)干魚(ひうを)の類(るい)を携(たつさ)へ来(きた)りて入浴(にうよく)するもあ り又(また)は米塩(こめみそ)を楼主(ろうしゆ)より乞(こひ)受(うけ)け自(みつか)ら炊(かし)くも ありて誠(まこと)に気楽(きらく)なる有様(ありさま)なり併(しか)し旅籠(はたご)を 要(よう)する上等室(じやうとうしつ)には世帯道具(せたいどうぐ)等(など)の設(まふ)け無(な)く 花氈(くはせん)敷皮(しきかは)の類(るい)を用(もち)ひて随分(ずゐぶん)鄭重(ておも)の座席(ざせき)も 数(かつ)あるやう也(なり)夏秋(なつあき)の間(あひた)は山中(さんちやう)到(いた)る所(ところ)浴客(よくかく) 群集(ぐんじゆ)して楼々(ろう〳〵)空室(あきま)なく或(あるひ)は酒(さけ)を呼(よぶ)者(もの)あり 或(あるひ)は餅(もち)を喰(くら)ふものあり思(おも)ひ〳〵の快(くわい)を尽(つく)し て笑語(しやうご)の声(こえ)殊(こと)に喧(かま)びすし加(くはふ)るに手品(てしな)手躍(ておとり) の諸芸人(しよげいにん)を初(はし)め芸 伎(しや)なとも入込(いりこみ)て楼上(ろうしやう)楼 下(か)湧(わく)か如(こど)く前代未聞(ぜんだいみもん)の繁昌(はんじやう)なり此(この)上(うへ)に又(また)