翻刻
錦石秋編輯
塩原繁昌記
君嶋氏蔵梓
塩原繁昌記
緒言(ちょげん)
抑々(そも〳〵)塩原(しほばら)の開闢(かいびやく)は何年(なんねん)以前(いぜん)にありて何人(なんひと)の
創草(くさわけ)と云(い)ふ事(こと)は慥(たしか)ならずと雖(いへと)も事跡(じせき)を以(もつ)て
考(かんがふ)るに凡(およ)そ千有余年(せんいうよねん)には至(いた)るなるべし此地(このち)
たるや雲煙(うんえん)深(ふか)く鎖(とざ)し山(やま)重(かさな)り谷(たに)阻(へたゝ)りて元(もと)人(ひと)を
通(つう)ぜす神仙(しんせん)独居(ひとりきよ)を占(しめ)て幽邃(ゆうすい)殊(こと)に甚(はなはた)し山中(さんちやう)に
温泉(おんせん)あり能(よ)く病痾(べうあ)を治(じ)するをもて径路(こみち)漸(やうや)く