翻刻
弘化四年丁未三月廿四日終日快天夜も猶晴明亥の刻はかり予
寝褥に入り雑書を閲す処に床下揺々たるを覚ふ地震ならんと
起上らんとするに挙家鳴動して側への行燈をゆり倒し折しも
闇夜咫尺をわかす探り〳〵おの〳〵起出よと喚きなから戸口に伝
轉ひ出くゝり戸ひきあくれハ老少とともにつとひ出辛ふして外の方
まてハ立出たれともなをゆれやますさなから船中に坐するか如し
四隣の騒動また夥し側への前栽よりハ砂水をふき出し往還の
道筋へ溢れ出る音冷しく近隣の凹地ハふき出せる水堪へて
往還を拒む堀際の道筋地裂る事或ハ壱尺或は弐尺やゝゆれ