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おひにかけ付(つけ)れどもはや鎮(しづ)まりし跡(あと)なれば家蔵堂社(いへくらだうしや)の軍兵等(うんひやうとう)
手疵破損(てきずはそん)をいたわりて介抱修復致(かいはうしゆふくいた)しける是(これ)によつて市中方一(しちうがたいつ)
統(とう)に心(こゝろ)を落付始(おちつけはし)めて我(われ)にかへりたる思(おも)ひをなし皆太平(みなたいへの)を呼(とな)へける
然(さ)れどもかゝるぶつそうなる折(をり)なれば鯰(なまづ)や火事(くわじ)の残党(ざんとう)とも若(もし)
あちこちに隠れ忍びて不意に起らば一大事と七日か間焼草に
野陣(のぢん)をはり笧(さかう)を焚(たい)て寒夜(かんや)を凌(しの)き大(ひ)の元身(もとみ)の元厳重(もとげんぢり)にかまへ
けるに日数(ひかず)を経(へ)ても難(なん)なければ人々精陣(ひと〴〵のぢん)を引(ひき)はらひ我城廓(わがじやうくわく)に
引籠(ひきこも)れば鹿島愛宕両神(かしまあたまりやうじん)も末社(まつしや)の神(かみ)をひきつれて珍座(ちんざ)
ば下にふゑきてんじよくはゝゆるが
の社(やしろ)へ御帰陣(ごきちん)あり四海(しかい)の浪(なみ)もおだやかに万代不易秋楽極(ばんだいふゑきせんじうらくゆるが)ぬ
記(しる) 終
太平記
御(みま)ぞめでたそれにてたしく〳〵
十一月十一日