翻刻
【右丁】
しらづして
能(のう)ある
人を
笑(わら)ふ
てそ
わが
もの
しらぬ
ほどは
あらはる
君ならで誰にかみせん梅の花色をも香をもしる人ぞしるといふ歌の心なるべしよく物を云
ものは人の手のよしあしをよくしるよくうたふものは人の謡(うたひ)のよしあしをよく聞 賊(ぞく)をは賊をもつて
求め賢(けん)をは賢をもつて求(もと)むといへり能(のう)ある人をそしりこなすは其道不案内のゆへなり是
かへつておのれがみのしらぬほどを我とあらはすなり其 恥(はち)をしるべし
【左丁】
誉(ほめ)そしる
人の
ふる
まひ
みるときは
うしは
牛づれ
馬は
むま
づれ
同気(とうき)を求(もとめ)て善人は善をほめて悪をそしり悪人は悪をほめて善をそしる故に人をほむる
もそしるも大事也其心の善悪を人にしらるれば也 古語(ここ)にも其人を見づして其 友(とも)を見
るといへり又物は数を以て集(あつま)り群(ぐん)を以て分(わく)る水は潤(うるほへる)にながれ火はかはけるにつくと云う牛は牛づれ也