東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト8

最明寺殿教訓百首 - 翻刻

最明寺殿教訓百首 - ページ 35

ページ: 35

翻刻

【右丁】 人にたゞ  まけじと     思ふ   心こそ  やがて    我身の  あたと     成なり 物ごと人をさきんじをのれを後(のち)としおのれを辞退(したい)して人にゆづるは礼也しかるを只人にまけじ おとらじかたんまさらんと相あらそふは我慢(かまん)邪心(しやしん)にして礼にあらす必人のにくみを得うらみを とる也是身のあたにあらずや古語(こご)にもおのれを曲(まぐ)るものはよく衆(しゆ)に居(ゐ)勝(かつ)ことを好(この)むは敵(てき)にあふと也 【左丁】 ゑせものは   人の嘆(なけき)を  よろこびて  よきと   聞ては  そねみ   こそ     すれ 仁者(しんしや)は物我(ふつか)のへだてなきによつて人のうれひを聞ては共に愁(うれ)ひ人の悦を夢ては共に悦ぶゑせ こんじやうのしれものは人にかたんまさらんと我慢(かまん)の心はなはだしきによつて人の仕合あしきを見ては 気味よく思ひよきを聞てはそねむ是をのれあることをしつて人有事をしらず不仁(ふじん)の甚きなり