翻刻
乃|間(アイダ)へ|挟(ハサマ)まれ足を引切事も
ならず尤切る道具ハなし其
内出火にて段々類焼にやけ参り
火の子乃来る迄|引張(ヒツパリ)見候へ共
最早われ〳〵も|危(アヤウ)く相成候故
ぜひなく致方も是なき次第也
依て|其許(ソノモト)ハ念仏を申|爰(コゝ)にて
|往生(ワウゼウ)を|遂(トグ)べしと申|逃去(ニケサル)時乃
心持|無慙(ムザン)【左ルビ:ハヅル】とも又いぢらし共|喩(タトヘ)ん
かたもなし家持上りズント落る
拍子二家〳〵|潰(ツブ)れ夫ゟ|続(ツゝイ)て|震(フルイ)
|強(ツヨ)く不残|揺(ユス)り天地震動する事
言語にのべかたし其内潰家ゟ
出火起り一家も不残焼失此時
男女大勢|泣喚(ナキワメキ)き騒動する声(コヘ)へ
天地え|響(ヒビ)き|寥落(モノスゴシ)事又|恐(ヲソロ)
|敷(シク)とも|喩(タトヘ)ん方もなき次第也|此類(コノルイ)
数多く皆〳〵かくの如き次第
なり|聞(キイ)たる|咄(ハナ)しを|印置何(シルシヲクイヅレ)も
|皆此咄(ミンナコノハナシ)乃ことし
後世にいたり此地震乃次第