翻刻
天明奇略
勢州(せいしう)久居の産宮川某(さんみやかわなにがし)の舎弟(しやてい)は幼少(よふしやう)より書籍(しよじやく)
に志深(こゝろざしふか)く長(てう)ずるに随(したが)ひいよ〳〵|広(ひろ)く学(まなば)んと京師(けうし)に
登(のぼ)り名を橘石見(たちはないわみ)之助と改(あらた)め熟筌定(じゆくせんでう)するに医(い)
術(じゆつ)を極(きわむ)るときは人を助ケ慈悲仁恵(じいじんへ)は是(これ)に過(すぐ)べ
からすと急度思案(きつとしあん)し夫より昼夜医学(ちうやいがく)に心を尽し
研究(けんきう)する事|茲(こゝ)に年あり或時風(あるときふ)と思ひ付き医(い)
道修行(とうしゆげう)のため扶桑回国(ふそうかいこく)せんと同志(どうし)の友某(ともなくかし)と相(そう)