翻刻
樺樹(かはさくら)、蘚苔(こけ)、鳳尾(ひとつは)草の生(せう)ずるあり、此堺(このさかい)を過(すき)て愈(いよ〳〵)高(たか)きに到(いた)れば、絶(たえ)て草木(さうもく)の生(せう)ぜざるを見(み)る 動物(どうふつ)、動物(どうぶつ)の地(ち)に従(したが)ひて各異(かくゐ)なるは、猶植物(なほしよくぶつ)の如(ごと)くにして、其一は温度(おんど)と気候(きこう)に係(かゝ)り、第二は土地(とち)に関(かゝ)はれり、之に依(よつ)て地上(ちしやう)の動物(とうふつ)分(わか)つて三類(さんるい)となるべし、即(すなは)ち熱帯(ねつたい)の動物温帯(どうふつおんたい)の動物及(どうふつおよ)び寒帯(かんたい)の動(とう)物(ふつ)是なり、 熱帯(ねつたい)の動物(どうぶつ)、此|帯(たい)は動物(どうぶつ)の充満(じうまん)する事、猶此地方(なほこのちはう)に植物(しよくふつ)の繁(はん)茂(も)するが如し、此|植物(しよくふつ)の繁茂(はんも)と、日(ひ)の光熱(くわうねつ)と、よく動物(どうぶつ)の蕃殖(はんしよく)を扶(たす)く、故(ゆゑ)に無骨虫(むこつちう)、把虫(はちう)、蛇類(じやるい)、鳥類(てうるい)、林(りん)莽(ぼう)に集散(しゆうさん)し、また犀(さい)、象(ぞう)、駝(らくだ)、彪駝(ひやうだ)、水牛(すいぎう)タピール、河馬の如き魁偉(くわいゐ)なる動物(どうぶつ)、山野(さんや)に群(ぐん)す、また獅(しゝ)子、虎(とら)、ポマヒヘナ、ウュルチユル、コンドル、響尾蛇(きようびじや)、蟒蛇(うはゞみ)等(とう)の如き残毒恐(ざんどくおそ)るべき動物(どうぶつ)あり、〇また此帯(このたい)の動物(どうぶつ)は、各地(かくち)の風土(ふうど)に随(したが)ひて各種(かくしゆ)あり、即(すなは)ち樹懶(しゆらん)、トーカン、コンドル、蜂雀(ほうじやく)は特(こと)に南(みなみ)アメリカに産(さん)し、彪(ひやう)