翻刻
ライシヤの全地(せんち)、オーストラリヤの殆(ほとんど)全地(せんち)是
なり、今(いま)地球上(ちきうじやう)海(かい)水の平面に於て、雪の常に降(くだ)る
地(ち)と、時(とき)あつて降(くだ)る地(ち)と、曾(かつ)て降(くだ)らざる地(ち)とを洞(とう)
知(ち)せば、再(ふたゝ)び海(かい)水の平面(へいめん)より上(うへ)に抽(ぬきん)でたる地に
在て、雪(ゆき)の降(くだ)る地(ち)と降(くだ)らざる地(ち)とある事を弁別(べんべつ)
すべし、中|巻(くわん)空気(くうき)の条(でう)に説(と)けるが如く、空気(くうき)は海
面(めん)より上る事(こと)、愈(いよ〳〵)高(たか)ければ愈(いよ〳〵)薄(うす)くなるものにて、
較著(かくちょ)なる高度(こうど)に登(のぼ)れば、水はその流動(りうどう)体の姿勢(しせい)
を失ひて氷結(ひやうけつ)し、水|蒸気(じやうき)は凝固(ぎやうこ)して雪となるに
至(いた)る、これ造化(ざうくわ)自然(しぜん)の妙理(めうり)にして、空気中(くうきちう)に一条(いちでう)
の界線(かいせん)を引(ひ)けるが如くにて、水蒸気(すいじやうき)昇(のぼ)つてこ?の
線(せん)を超(こゆ)れば忽(たちま)ちに変(へん)じて雪(ゆき)となる事(こと)、上(かみ)にもい
へるが如(ごと)し、故(ゆゑ)に此(この)想像(さうぞう)せる界線(かいせん)を雪線(せつせん)と云ふ、
今(いま)地球上(ちきうじやう)諸帯(しよたい)に在(あつ)て、正(まさ)に雪線(せつせん)に至(いた)れる高度(こうど)即(すなは)
ち高山(こうさん)の永年(えいねん)積雪(せきせつ)ある部分(ぶぶん)の下界(かがい)、各(おの〳〵)相等(あひひと)しか
らざる事を、次(つぎ)の図(づ)によつて弁別(べんべつ)すべし
雪線(せつせん)