翻刻
はくもいかゞなり《ルビ:我等|われら》は《ルビ:壱人|ひとり》にても先へゆき《ルビ:彼|かれ》を
《ルビ:宥|なだ》め《ルビ:泊|とま》り《ルビ:駅|しゆく》の《ルビ:定宿|ちやうやど》にて《ルビ:相待|あいまつ》べしと《ルビ:言|いひ》しかば《ルビ:然|しか》
るべしと《ルビ:同|どう》し《ルビ:内|うち》《ルビ:下戸|げこ》の《ルビ:者|もの》壱人を《ルビ:連|つれ》て立出しに
《ルビ:跡|あと》は《ルビ:鰻|うなぎ》を《ルビ:焼|やか》せ酒はぐみて《ルビ:時刻|じこく》も《ルビ:延|の》び《ルビ:早|はや》七ツ時にも
《ルビ:成|なり》けるに《ルビ:俄|にはか》につなみ打来り《ルビ:残|のこ》る七人は皆々《ルビ:溺|をぼ》れて
死したる由無事に《ルビ:帰|かへ》りし者の《ルビ:咄|はな》し也
《ルビ:因|ちなみ》に《ルビ:言|いふ》当嘉永七寅十一月五日は《ルビ:午|むま》の日也しが
巳の日とおもひ《ルビ:違|ちが》ひ《ルビ:諍|いさか》ひをなしけるも《ルビ:天命|てんめい》の《ルビ:尽|つき》
ざる所也《ルビ:是|これ》に同じて二人《ルビ:連立|つれだち》し《ルビ:者|もの》は《ルビ:災難|さいなん》を
《ルビ:免|まぬが》るゝの《ルビ:因縁|いんゑん》ならん
○諸国(しよこく)地震津波(ぢしんつなみ)の話
嘉永七寅十一月四日辰の刻五日申の刻 両度(りやうと)の大震(おほゆり)
にて諸国の荒(あれ)左(さ)のごとし江戸丸ノ内 辰(たつ)ノ口 大名小路(たいみやうしやうぢ)
御屋敷方大 損(そん)じ。西丸下御 役屋敷(やくやしき)大損じ西 久保(くぼ)