みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE8

大地震 津涛乃奇談 第二集 - 翻刻

大地震 津涛乃奇談 第二集 - ページ 6

ページ: 6

翻刻

 ○変(へん)にあひし悪人(あくにん)の話 爰(こゝ)に又|身代(しんだい)も相応(さうおう)に暮(くら)す人あり此人|常(つね)に金(きん) 銀(ぎん)を貸(かし)て不当(ふたう)の利を貪(むさぼ)り慈悲善根(じひぜんごん)をなさず 神仏(しんぶつ)をも尊信(そんしん)する事なく悋嗇(りんしよく)にして一|銭(せん)をも 費(ついや)さゞりたれば追(をい)〳〵|身代(しんだい)もよくなりて乙女 美人を召使(めしつか)ひくらしけるに当十一月四日の秋(あき)大地 震しければ主人(あるじ)を始(はじ)め家内みな〳〵大ひに恐(おそ)れ いかゞせんと狼狽(うろた)へ廻(まは)りしに世間(せけん)の人〻|皆(みな)ふねを 借(かり)て地(ぢ)しんを避(さけ)るのよし聞出し是|屈竟(くつきやう)の手段(しゆだん) なりと元より悋(しは)き者(もの)なれども地震(ぢしん)の恐ろしさに 常よりは貸賃(かしちん)の高きをも厭(いと)はず舟を借求(かりもと)め 川端(がんぎ)につなぎ蒲団(ふとん)火鉢(ひばち)など入て乗居(のりゐ)たりしが 其日は格別(かくべつ)の大|震(ゆり)もなければ家に帰り又家中(やちう) に大ゆりのあらんことをおそれ夕方(ゆうかた)より舟に乗(の)り