翻刻
《ルビ:世間|せけん》一《ルビ:統|とう》《ルビ:騒動|さうどう》する《ルビ:折|おり
》からなれば《ルビ:髪結隙|かみゆひひま》もなく
《ルビ:小|こ》よりを《ルビ:拵|こしら》へて《ルビ:髪|かみ》をくゝりなどする内又《ルビ:大地震|おほぢしん》
ゆり出しければ火の元戸の《ルビ:〆|しま》り等の事を《ルビ:心強|こゝろつよ》
くも下女壱人に云付《ルビ:置|おい》て下女の恐るゝをもかへ
りみず家内引《ルビ:連|つれ》あはてふためき船に《ルビ:至|いた》る下女は
壱人《ルビ:振|ふり》のこされ生たる《ルビ:心地|こゝち》もなかりそれども《ルビ:日頃|ひごろ》
厳しき《ルビ:主命|しゆめい》におそれ大ゆりの少?し《ルビ:穏|をだや》かに《ルビ:成|なる》を
《ルビ:待|まつ》て《ルビ:竈|かまど》の《ルビ:下|した》《ルビ:炬燵|こたつ》等の火をしめし戸の《ルビ:〆|しま》りなど
しけるに《ルビ:折々|をり〳〵》小ゆりすればゆる《ルビ:度毎|たびごと》には《ルビ:門|かど》に
出また内に入て《ルビ:仕廻|しまわ》りし又ゆり出せば門にいで
《ルビ:兎角|とかく》して仕廻り《ルビ:後|をく》れやう〳〵《ルビ:主命|しうめい》の通り仕廻い
《ルビ:事|ごと》《ルビ:片付|かたつき》ければ《ルビ:跡|あと》より舟へ《ルビ:行|ゆか》んと門に出る時けし
からぬ《ルビ:音|をと》して人の《ルビ:叫|さけ》ぶ《ルビ:声|こゑ》《ルビ:凄|すさ》ましければ何事や
らんと《ルビ:川端|かはばた》に《ルビ:走|はし》り《ルビ:至|いた》りけるに《ルビ:早|はや》《ルビ:大津波|おほつなみ》《ルビ:逆|さか》まき