翻刻
発仕候に付其地の響強相成候得共発散の音にて恐候
程の儀は有間敷候万一地中に邪気残居候て只今にても
地気を閉込昇騰乏候時には又々大震にも可及候得共方今
天気窺候処にては次第平穏に相成最早炮音の如き物も
三十日の中には止候哉と奉存候此上 御不審被為
遊候御儀御座候得は 御直に可奉言上候
十一月 川谷虎次郎致直
百拝
◯倭霊地震論
安政元年仲冬国中大地震家屋破壊尋ち火災起り
吾茅舎も又悉煨燼辟烖流浪し親戚の厚情に拠て
漸一日を糊す或人曰国君仁政を施し庶民撃壊の時也
何を以天譴如斯乎学者曰陰陽不和成を以也衆人此
義に帰し亦疑はす予竊に按に漢土陰陽は国家の
大事悉く此理に倚らさる事なし若夫不和なるは国
政の不正なりとす然らは地震の起る所を究すは有へか
らす抑吾神国曾て陰陽を云はす古事記の初文唯
天地の初の時と有て日本紀首文は陰陽云云と出たる