翻刻
午ノ上刻地震屋根石落し家内之者逃出し申候
一廿四日松本二泊り未休夜具引かぶり候斗之処どぶ〳〵と申音
響くやいなやゆれ出し五六人連れの内此者と外壱人ハ
出おくれ壱人の上へ壁落候二付弥惣八ハ是へつまつき
なから怪我人有之旨申外へ出少し止間二連の者一同内二
入火を燈し壁を取除ふとん二くるミ外二出色々手当致ㇱ
漸いき吹返し候由初ハどつと申と直二壁落鴨居なけしも
箱階子の引出迄抜落候位戻たるものゝ起かへる程の
間もなきとの由壱丈もへ揚りどんと落候様成心持の由
其夜野宿早朝出立此夜も野宿夜半雨降一同困り
候由此時の地震も大ひ成由是に而潰かゝりの家抔又潰候旨
廿六日ハ善光寺泊の積中途より往来留二而松代迄跡へ
戻手つる有之役人江面改を請漸止宿な里宿同所
二而ハ一軒二壱人ツゝ亭主而巳残居外家内ハ野山二小屋かけ
居候様領主より申付有由此日同所蝋燭屋壱軒二而五十〆文
売候処領主より火之元厳敷申付有之火蝋燭而巳を用候様
触有之候城下の蝋燭ハ不残買上壱人二付右何挺白米何升
との被施候旨松代領能手の届候様子二候翌廿七日川中嶋迄
参連ハ跡へ帰り此者壱人むり二渡りを越善光寺江参候処
入口二役人出死人を山の如く積二て追々取集居市中の死
人余り二多く恐敷成候程二而其上匂ひ強く此日ハむすび
の用意も有之候得共善光寺前後廿り斗の間二ハ呑水も
無之間一日弁当なと遣ひ不申旨此辺人家有之所ハ
焼原又ハ潰候家の棟をつたい歩行候由廿九日柏﨑泊迄ハ