翻刻
り重(おもき)が故(ゆゑ)に、洋水(やうすい)常(つね)に両極(りやうきょく)より赤道(せきだう)に向(むか)ひて突(とつ)
入(にう)し、赤道(せきとう)の洋水(やうすい)は之が為(ため)に圧迫(あつぱく)を受(う)け、却(かへつ)て両(りやう)
極(きょく)に向(むか)ひて遁(のが)れ去(さ)るべきなり、今(いま)もし地球(ちきう)運転(うんてん)
の勢(いきほひ)と大陸(だいりく)の妨碍(ばうげ)なくば、其|暖流(だんりう)常(つね)に赤道(せきどう)より
南北(なんぼく)に分流(ぶんりう)すべし、
諸洋流(しょようりう)の形状(かたち)、
大南洋(たいなんやう)〻流(〳〵りう)は南極(なんきょく)より東北(とうほく)の方(かた)に向(むか)ひて流(なが)れ、
南(みなみ)アメリカの西浜(せいひん)に至(いた)る、未(いま)だこゝに到(いた)らざる
時(とき)小流(しやうりう)分流(ふんりう)して東南(とうなん)に走(はし)り、ケープホルンに傍(そひ)
て流(なが)れ、その本流(ほんりう)は南(みなみ)アメリカの海浜(かいひん)に沿(そ)ひて
其|道(みち)をなし、ヘルュヴイアン海浜(かいひん)に達(たつ)し、これより
俄(にはか)に西(にし)に転(てん)じ、大東洋(たいようやう)赤道(せきどう)洋流(やうりう)の中に入る、また
大東洋(たいとうやう)赤道(せきどう)洋流(ようりう)は、南緯(なんゐ)二十六度と、北緯(ほくゐ)三十四
度(ど)の間(あいだ)に於て、大東洋(だいとうやう)を流通(りうつう)し、其|広(ひろ)さ殆(ほとん)ど三千
五百里にして、アシア近傍(きんはう)の諸島(しょとう)の間(あいだ)を貫通(くわんつう)し
て、終(つひ)にインデヤ洋(やう)赤道(せきどう)洋流(やうりう)と合併(がつへい)す、またイン
デヤ洋(やう)赤道(せきどう)洋流(やうりう)は、流(なが)れてアフリカの海浜(かいひん)に至(いた)
り、マダカスカルの島(しま)に近(ちか)づく時(とき)、甲乙(かうおつ)二条(ふたすぢ)に分(ふん)