翻刻
熱海温泉由来記
伊豆の国加茂郡|葛美(くすみの)荘|熱海(あたみ)|温泉(おんせん)の来由を尋るに
人王廿五代 仁堅天王の御宇此所の海中に|忽然(こつぜん)と温泉
|湧(わき)出て|煙気沖(けふりをき)に|立登(たちのぼり)海潮は|熱湯(あつきゆ)と也|沸(わき)かえりけれは|是(これ)に
ふるゝ|魚(いを)類|亀介(かめかい)の類ひ|焦(こが)れ|爛(たゞ)れてたほれ|死(し)する|事限(ことかぎ)り
なければ|浜(はま)のあたり沖のおもて|臭(くさ)き|気(き)みち〳〵てすな
どりするわざも|絶(たへ)けるとなんかく|海潮(うしほ)の熱湯とわき
かえりていとあつきなればとて|熱海(あつみ)ヶ|崎(さき)とは|称(ごう)しけらし
かくて|星霜(せいさう)種へて三十九代 天智天皇の御宇に