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を覚(おぼ)ゆる事|甚(はなは)だ速(すみや)かなり、纔(わづか)【僅の異体字】に百八十尺の高処(こうしょ)
に登(のぼ)れば赤道(せきどう)より極地(きょくち)の方(かた)へ一|度(ど)、即ち六十九
里余(りよ)の遠(とほ)きに至(いた)ると、温度(おんど)の減(げん)ずる事(こと)相等(あひひと)し、ま
た赤道(せきどう)の地(ち)に於て、海面上(かいめんじょう)一万五千尺の高(たか)さは、
永年(えいねん)積雪(せきせつ)ある地方(ちはう)、即(すなは)ち緯度(ゐど)七十度の地(ち)と同温(どうおん)
なる事を知れり、○第三、山脈(さんみゃく)の姿勢(しせい)と方向(はうくう)とは、
近傍(きんはう)各地(かくち)の気候(きこう)に、較著(かくちょ)なる徴(しるし)を顕(あらは)すべし、若(もし)山(さん)
脈(みやく)東(ひがし)より西(にし)に綿亘(めんたん)するものは、殊(こと)に気候(きこう)に係(かゝ)る
事|大(おほ)いなり、山陽(さんやう)の地(ち)は連山(れんざん)北風(ほくふう)を遮(さへ)ぎり、山陰(さんいん)
の地(ち)は然(しか)らざるが故(ゆゑ)に、寒暖(かんだん)の差(さ)甚(はなは)大(おほ)いなり、
即(すなは)ちロシヤポーランドは、カルパジア山(さん)の北方(ほつはう)
に在て、其|北(きた)に高地(こうち)なく、エウロツパ北部(ほくぶ)の平原(へいげん)
を経過(けいくわ)する、凛冽(りんれつ)なる凍風(とうふう)を掩(おほ)ふあらざれば、そ
の気候(きこう)殆(ほとん)どズウイデンの如くにして、民(たみ)厳寒(げんかん)に
苦(くる)しめり、またホンガリーは之に反(はん)して、カルパ
ジア山脈(さんみゃく)凛〻(りん〳〵)たる北風(ほくふう)を遮(さへぎ)るが故(ゆゑ)に、ゼルマン
国(こく)の他地(たち)よりも暖(あたゝ)かなり、またシベリヤの寒気(かんき)
酷烈(こくれつ)なるは、北氷洋(ほくひやうやう)より来(きた)る所(ところ)の寒風(かんふう)を防(ふせ)ぐべ