翻刻
平均(へいきん)の温度(おんど)相同(あひおな)じき地方(ちはう)を経界(けいかい)す、故(ゆゑ)に同(おな)じ同(どう)
温(おん)線内(せんだい)に在る地(ち)は、また年〻(ねん〳〵)平均(へいきん)の同温度(どうおんど)を保(たも)
つとす、しかれども其|気候(きこう)敢(あへ)て一様(いちやう)なるにあら
ず、其(それ)の地(ち)に在ては、冬天(とうてん)の気候(きこう)温和(おんくわ)なるに、夏時(かじ)
また酷暑(こくしょ)あらざるあり、しかるに他(た)の地(ち)に在て
は暑寒(しょかん)その極(きょく)に至(いた)るものあり、また大熱線(だいねつせん)は赤(せき)
道(どう)の北方(ほつはう)に偏(へん)せり、これは地球上(ちきうじやう)の大陸(だいりく)多(おほ)く北(ほつ)
方(はう)に在るを以てなり
第十六章
鉱物(くわうふつ)
衆多(しゅうた)鉱物(くわうぶつ)の諸性(しょせい)を論(ろん)ずる事(こと)は、別(べつ)に鉱物学(くわうぶつがく)のあ
るあり、天然(てんねん)地理学(ちりがく)の偏(ひとへ)に論(ろん)ずる所のものは、其
産出(さんしゆつ)する地方(ちはう)、地理学(ちりがく)に関渉(くわんせふ)するものを説(と)き、且(かつ)
地殻(ちかく)の成分(せいぶん)に居る所の鉱物(くわうぶつ)の質(しつ)を論(ろん)ず、抑(そも〳〵)鉱物(くわうぶつ)
は地(ち)より産出(さんしゆつ)するものにして、化学(くわがく)作用(さよう)に由(よつ)て
成立(せいりう)し、其|凝固(ぎやうこ)するや結晶(けつせう)の妙機(めうき)に係(かゝ)る、○鉱物(くわうぶつ)
は岩石(がんせき)の虧隙(こげき)に在て、脈絡(みゃくらく)の状(かたち)をなし、或(あるい)は塊(くわい)を
なし、或(あるい)は牀(ゆか)【床の異体字】の形(かたち)をなし、或(あるい)は砂礫(しゃれき)の形(かたち)をなして