翻刻
弘法大師御伝記序
檐(のき)のしづくのとく〳〵と。よきをあがめてこれをこひ
あしきをこばみてそれを捨(すつ)。二つのものはいづれか
勝(まし)。いづれか劣(をと)れる。されは詩(し)にはみだれるを削(けつり)て。
門(かど)なみにうたひ。書(しよ)にはおさまれるをほめて。家(いへ)ごと
におこなふ。実(まこと)に故(ゆへ)あるかな。こゝろみに是をことはらん。
それ第(たい)一上にのぼり。下にくだつて。月日よべにめぐり。
あしたにはこび。山河(さんが)高(たかき)にそびえ。長(なか)きになかれて。
人畜(にんちく)縦(たて)にあゆみ。横(よこ)にはしり。ちゞの名まじはりつらな
つて。万(よろつ)の物かぎりなき中に。貴(たつとふ)して且(かつ)うや〳〵し