翻刻
天下を泰平国家を豊にするのハ目の前造作もな
い事御存なけれハ教てあけよふ御前か貰たか増の一万
御上江戻して本郷の隠居の子供を貰って家督を
譲て隠居を被成て日光江向つて掟を破つた御侘を
申て御腹の痛ヶりや首ても溢て死たりやあまたしも忠
義しやなけれと人間らしいて御上にあたまの押て
かないとて曲つた政事に我儘一はい譜代恩顧の
御人の中にハ頗る御方も沢山有のに夫をも見出さす
生も素性も分らぬ百姓浪人なんぞが仮親拵へ御
上を偽り御徒江出かけて段々強上り諸大夫なんそ二
なると云ふのハとうしたこんたよ鼻持ならねへ元より
是等は御上をたはかる大きな罪人市中へ引出し
首切人物ヶ様な小輩御上の御為ハちつとも構わす
諸人のなけきハ猶更構わすよくない事とハ気之毒
なか二も老中江向つて一言也共返か答出来ぬハ無理
てもねへのさ元来賎い取立もの故己か竃のふへるを
専一心に振たハ忝なこんたよ斯る役人上へハ弱くて下
へハ強くて小股をくゝつて仁心なくつて一同すくつて
了間なくつて異船にあわくつて老中しやくつて御台
場作つて鉄炮かなくつて因果か廻つて勇気かなくつて
軍に弱くつておけつが軽くて地の中もくつてお尻
をまくつて逃るて有たろコレ〳〵阿部さんとふする積
りた一体お前ハ人てハないそへそうたそ畜生めこま
かにちよほくれ側向野郎をそろ〳〵引連大宮八幡