翻刻
破(やぶ)るその隕(おち)たる形(かたち)を見(み)とめたる
人もあるにや猫(ねこ)のごとしといひまた
亥(いのこ)のごとしといふ人もあり殊(と)に
怪敷(あやしき)は其 隕(おち)たる辺(ほと)りに太皷(たいこ)の
撥(はち)とていろ〳〵のものを隕(おと)すこと
あり時によりては斧(をの)楔(くさび)なんど
おちてあり種々(しゆ〴〵)の説(せつ)多(おほ)くして
弥々(いよ〳〵)惑(まと)ひを重(かさ)ね惣(すべ)て雷(いかづち)の事
さま〳〵に云ひ伝(つた)ふれども皆(みな)本(ほん)
説(せつ)にあらずと知るべし程子曰(ていしのいわく)
雷(いかづち)は陰陽(いんやう)相(あい)軋(きし)り電(いなづま)は陰陽(いんやう)相 撃(うつ)
と云へりしかれども陰気(いんき)の凝(こ)り聚(あつま)
りたるが陽を包(つゝ)むゆへ陰と陽(やう)と軋(きし)り
あひて声(こゑ)あり其つゝみたる陰(いん)の
中を陽(やう)の震(ふる)ふて出るところの
勢(いきほ)ひ光(ひか)りと成(な)るなりたとへば