翻刻
穀食物万用の貯へ備置遠き慮りの心得すべき事なり
前件の災厄あるとの事既に眼前に天明癸卯の年信濃の
国浅間山焼東国砂降り吾妻山より熱湯湧出四川
洪水夫より諸国洪水其外天変地妖ありて雑々敷
然して天明六年丙午なり大洪水人馬困共死す諸国
諸国諸作物大に不熟にして翌天明七年丁未なり
諸国江都飢饉米穀諸色払底高直にして天下万民
困窮に及へり正しく予此困に遇へりさて浅間山焼より丙
午丁未の年災の忽劇狼狽藉せる景迹を注し置て後の
年災を免るゝ亀鑑とす恐れ慎むへき事なり
一 天明癸卯の年浅間山焼の事より天明丙子丁未の変
景を注す
信州小懸郡に浅間山あり諸山に異りて一山の内草
木曽てなし兀として焼たる上のことし前掛山沓掛山