翻刻
瓜(うり)の蔓(つる)に茄子(なすび)は
ならずと諺(ことわざ)には
言(い)ひながら悪(あく)の
たねをまきて善(ぜん)の
実(みの)らざるをしらず
たゞ〳〵善の種(たね)を
蒔(まき)て善の
実(み)のるを得(う)べし
○抑(そも〳〵)此天|災(さい)ある事は。原来(ぐはんらい)人の心正直(こゝろすなを)ならさる故(ゆへ)に
天わざわひを下(くだ)して人をいましむるもの也。王|充(じう)が
論衡(ろんかう)に云太平(いはくたいへい)の世(よ)は五日(ごじつ)一|風十日(ぷうしうじつ)一|雨(う)。風|枝(えだ)を鳴(なら)さず。
雨塊(あめつちくれ)をやぶらずとあり。聖代(せいだい)には五日に一たびの風
あり。十日に一|度(ど)の雨(あめ)ありて素(もと)より和(やはら)かなりとぞ。
されば今水上|清(きよ)くして。仁政(じんせい)を施(ほどこ)し。万民(ばんみん)を憐(あは)
れみ給ふといへども。下濁(しもにご)りて人気善(にんきよ)からず二百
有餘年(ゆうよねん)の太平にほこり。仁義(じんぎ)の道(みち)をうしなふ故(ゆへ)に
時候不順(じこうふじゆん)にして五穀(ごこく)の実(み)のりあしく。あるひは雨(あめ)