みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE3

[世なをりそうし] - 翻刻

[世なをりそうし] - ページ 9

ページ: 9

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既(すで)に寛(くはん)文十年八月三日|風雨(ふうう)すこぶる烈(はげ)しく山海(さんかい)を 動揺(どうよう)し。巨濤(おほなみ)天に翻(ひるがへ)り浪華(らうくは)の民屋(みんをく)しば〳〵|破壊(はえ)し。 人あまた死(し)するよしいひつたふ《割書:当年まで百八|十五年に及ぶ》その後(のち) 宝永(ほうえい)四年十月四日大|地震(ぢしん)にて津波(つなみ)おこり。浪花(らうくは)の 人(にん)民|多(おほ)く死すとぞ《割書:当年まで百四|十八年に及ぶ》 按(あん)ずるに寛(くはん)文のつなみは市中(しちう)に溢(あふ)れ。人家(じんか)をくづ せし事有まじきにあらず然るに貞享(ていきやう)年|間(かん)に川村 瑞見安治水道(ずいけんやすはるすいだう)の地理に鍛練(たんれん)し大川|條(すじ)の末を堀り。逆(ぎやく) 流(りう)の愁(うれ)ひを止(とゞ)む。号(なづ)けて安治川といふ。安|治(はる)の音(おん)に 因(よつ)てなり故にあまたの新田(しんてん)ひらけ。民庶安堵(みんしよあんど)の思(おも) ひをなす。此時|堀(ほり)し土砂(どしや)を上(あげ)しめ丘(おか)を築(きづ)きて川 口を助(たす)く。是を浪除山(なみよけやま)《割書:俗にずいけん|山といふ》と号(がう)す。すなはち洪(かう) 水(ずい)の時。高濤(たかなみ)をこゝにて堰除(ふせぎよく)るの名なるべし。宝永(ほうえい) の巨濤(つなみ)は。安治川|開発(かいほつ)の後(のち)なれは。海辺(かいへん)川|岸(ぎし)は。其難(そのなん) なきにしも非(あら)すといへども。寛文(くはんぶん)の頃(ころ)に比(くら)ぶれば。遙(はる) かに無難(ぶなん)なる事|推(おし)て知(し)るべし。今は尚波除山(なをなみよけやま)の 地より。又田|園若干壁(はたそこばくひら)けて。海岸(かいがん)に目印山(めしるしやま)の一嶌(いつたう) ありて。宝永(ほうえい)のむかしにくらぶれは。益〳〵海にとを