翻刻
これを験むるに果して巨人の骨骸を得たり其長大な
る事およそ三十「エルレン」有余におよひ《割書:按するに「エルレン」は本朝の曲|尺二尺余なれば三十「エルレン」余》
《割書:にて大抵六七丈|なるへし》其形状きはめて怖るへし「セルトウス」これを
見て驚き且恐るすなはちまたこれを葬埋する事
初の如くして且其墓を修飾して其墓前に一ツの「アルタ
アル」《割書:火を燎て天を|祭る高台》を建てこれを祭らしむる事神の如くせしむ
といふ
「キリイキス」国の三画工の説
「キリイキス」国の名画師「セウキシス」の事すでに前編に記す今
また偶〳〵西書を閲するに同時に又二人の画工あり一を
「アぺッレス」といひ一を「パルラシウス」といふ「セウキシス」と共に画を以
て時に名誉あり皆「アレキサンデル」大王の寵顧を受く「アぺッレ
ス」最世に名高し後世尊て画王と称す曽て牝馬を画
く其態状厳として真物に異らす牡馬をしてこれ
を見せしむれは皆跳躍してこれに近づきて合せん事
を欲せさる者なし「パルラシウス」曽て大なる画板の上に
繡幔の状を画く「セウキシス」偶〻至る座に入て後に彼繡
幔を挑けんとす既にして既にして其画なるを知て則大に笑
てこれを賞美せり同時「ぺイルゴテレス」なる者人物の像を彫鏤
する事に其妙をきはめてレイシ。スス」なる者銅鋳に其妙を恃
て共に世に名誉ありしといふ又按するに地理の書に
「アぺッレス」は哥阿島(コオス)に生れたる人なりと記せり哥阿島(コオス)