翻刻
【上の資料・右ページ上段】 【上の資料・右ページ下段】
天智天皇 持統天皇
あきたなの はるすぎてうちから
やねまで水を どくの火事ゆへに
たな火けしわが あれ人ともに
からだまでついにぬれつゝ かぎやうかくやま
柿本人丸 山辺赤人
あしよはを 両ごくへうちいで
つれてにげゆく みればみせものゝ
やまのてへしるぺ こやのたかねへ
たづねて一夜かもねん 火のこふりつゝ
猿丸太夫 中納言家持
おくの間のたんす いさゝかのわたせる
ながもち火が にもつせおひいで
ついてすておき うしろをみれば
にげるときぞかなしき よくやけにけり
【上の資料・左ページ上段】 【上の資料・左ページ下段】
安部仲麿 喜撰法師
火のみからふり わがうちは火もとの
さきみればはるか きんしよしかも
なる身よりのへんに るすよふやけたりと
出し火事かも 人はいふなり
小野小町 蝉丸
はなのあな これやこのゆくも
くすぶりにけりな かへるもあきだな
いなづらとゆきゝの をかすもかさぬも
人がながめせしまに おふや衆のむね
僧正遍照 参議篁
みなみかぜくもを またのはら
かすみにやけて 両ごくへんへやけ
くるあさくさ ゆくと人には
だいちでしばしとゞめん つけよみつけそとまで
【下の資料・火の用心見立そうし】
○風ふきは南風
ならい 北おろし
なといたつてはけしく
去明暦三年の大焼に
十万八千人死亡夫よりひきつゝき東都数しれず
こたひおほやけよりめてたきおほせ事をこうむり
火のばんあひつとめ亥冬より子のことしに
いたるまで万民まくらをたかくして
眠らるゝ事世のためしなき政道あほぐべし
尊とむべし