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【全体の上段】
じしんのいりはじめハ
おほかたあさの 四ツ谷
おろしや船がつなミにまかれ
たといふのハうそかねそれは 本所
大地しんに三日もいられ
しんハおとろへ目が 久保丁
つなミでけとうじんハしんだ
ろふといふ人の 神田
此地しんでハ
みんなかほが 青山
ふじの山が地しんでつぶれ
たといふのハほんとふかねそれハ 鉄砲洲
大地しんでハあしが
すくんでめが 丸の内
地しんのおちついたこく
げんハ大かた夜の 八ツ山
【以上の下】どをけ三十六哥仙
【哥は右上から下へ、次に左隣へ移動】
てんぢてんわう
あきれたね又
東海道ハ大
地震わがにやう
ほうハどこへにげつゝ
ぢとう天王
あるくにもて足ハ
すくむ地ハ
われるわがから
だにハあせをかく山
かきの本の人丸
足よハがたす
けてくれと
頼めども
命ほしさに
人ハかまハん
山べのあか人
どこの浦も
内より出て
にげいづるこへハ
高ねでとこしをふりつゝ
春丸太夫
おく山に道を
ふミわけにげ
いりて山がくづ
れてなくぞかなしき
中なごんやかもち
あさ草の【下の四角内に「芝居」】
芝居町から
山のしくひろきを
ミれバよるふけにけり
きせんほうし
わが家ハ下田の
おきにながれつゝ
ミな内なしで
人ハいるなり
小のゝ小町
かほのいろハ
かハりにけりな
大じしんてん
でにかほを
ながめせしまに
せミ丸
これやこのいきも
かへりもあつ
まりてしりも
しないで大かたのせめ
そう正へん正
はまつなミ
わか内こそ
ハ山の上
てをハそろへて
しハしとゝめん
さんきたかむら
かゝのはらのりし
じしんハよけれ
とも此じしん
でハきん□いりふね
中なごんあさたゞ
大地しんすミし
あとにて
なか〳〵に
人のしゝたるかすハしれまじ
【下段大きな四角内上から下へ、次に左隣へ】
平のかねもり
下田をきゆら
れにけりなおろしや
ぶねミなよひ
きミとひとのいふまで
かんけ
此たびハ大工
しやかんハかねの山
もちバのしごと
きうのまに〳〵
そせいほうし
今に又いると
おもふて人々が
したくこそして
まちゐづるかな
けん徳公
あハれともいふべき
とこハ二【三カ】嶋じく
家がつぶれて
こまるべきかな
西行ほうし
なげきつゝ神や
ほとけをいのりても
こういふときハ
きかぬものかな
しゆ徳いん
せをはやく岩で
くだけしひがき
ぶねもふこれからハ
のらんとぞおもふ
中なごんかね平
ミなは□へたをれ
いるのをなが
むれバわが
ていしをバこひしかるらん
文やのやすひで
ゆるからに秋はの
町もしをれつゝ
山も地しんと
人ハいふらん
藤原よしたか
きミがため
おしからざりし
命でも此
じしんでハ
にげにけるかな
大弐の三み
ありま山火
のミのうへハ
ひどかろふたつた
ひとりでこハいめをする
清少なごん
夜をふけて
鳥のなくまで
子ぞうさんどうぐの
ばんハきつとゆるさじ
右大じんミちつなのはゝ
なげきつゝ役者ハ
ミんなやすミゐる
いかに久しき
ものとかハしる
左京の太夫ミち政
今ハたゞをう
らいたへて八日
より一人たちを
とふすよしもかな
中なごん行平
たちいでゝにけ
ゆくとこハ山の
うへをちつくときハ
またかへりこん
三じやうのう大じん
なにしおふ
ふた子の山も
あれぬれハいしが
ころげてくる
よしもがな【次の哥の詠み人最後の行】
うミのおとたへつ
久しくなり
ぬればまた
つなミかと人ハにげけり
大なこんきんとう
さきの大僧正きゃうそん
もろともに
あハれと
おもへ大地
しんやふよりほかに
ゐるとこハなし
やうせいゐん
つりかねもうへ
よりをつる
大地しんおとぞ
ひゞきてみゝへなりぬる
藤原清すけあそん
なきながら
ていしハ
ニどの大
ししん湯□とよりも
畑がかなしい
かハらの左大じん
道なかへたをれ
ふしたる大
じしん地こそ
ひらいてわれならなくに
大江の千さと
いりぬれバひゞに
心もかなしけり
わが身ひとりの
事にハあらねど
源のむねゆき
山ざとハゆるぞ
久しくかぎり
なく人もその
身もしすとおもへバ
ミぶのたゞミね
ありがたき
つゞく天下
のおひざもと
水道のとよで江
戸ハけがなし【哥の下の四角内「上水」】
じゆん徳いん
もも引や古き
じばんでかけ
いだしあまりに
つよきじしんなりける
現代語訳
【上段】
地震の始まりは、おおかた朝のころで、ロシア船が津波に巻かれたというのは嘘かもしれない。それは大地震に三日も遭われ、心は萎え、目が(四ツ谷、本所、久保町)津波で外国人は死んだろうという人の話。この地震では皆顔が(神田、青山)富士の山が地震で崩れたというのは本当かもしれない。それは大地震で足がすくんで目が(鉄砲洲、丸の内)地震の落ち着いた刻限は大方夜の(八ツ山)
【道化三十六歌仙】
天智天皇
あきれたね、また東海道は大地震、我が女房はどこへ逃げつつ
持統天皇
歩くにも足はすくむ、地は割れる、我が体には汗をかく山
柿本人麻呂
足弱がたすけてくれと頼めども、命欲しさに人は構わん
山部赤人
どこの浦も家より出て逃げ出づる、声は高嶺で床几を振りつつ
春道列樹
奥山に道を踏み分け逃げ入りて、山が崩れてなくぞ悲しき
中納言家持
朝草の芝居町から山の敷広きを見れば夜更けにけり
喜撰法師
わが家は下田の沖に流れつつ、皆家無しで人は入るなり
小野小町
顔の色は変わりにけりな、大地震展で顔を眺めせしまに
蝉丸
これやこの行きも帰りも集まりて、尻も知らないで大方の責め
僧正遍昭
浜津波、わが家こそは山の上、手をば揃えてしばし止めん
参議篁
嵯峨の原載しし地震はよけれども、この地震では金(?)入り船
中納言朝忠
大地震住みし後にて、なかなかに人の死したる数は知れまじ
平兼盛
下田沖ゆられにけりな、ロシア船皆酔い、君と人の言うまで
菅家
この度は大工、職人金の山、持てばの仕事、急の間に間に
素性法師
今にまた入ると思うて、人々が支度こそしてまち居づるかな
謙徳公
あわれとも言うべき所は三島宿、家が潰れて困るべきかな
西行法師
嘆きつつ神や仏を祈りても、こういう時は聞かぬものかな
崇徳院
瀬を早く岩で砕けし檜垣船も、もうこれからは乗らんとぞ思う
中納言兼平
皆は(?)へたおれ居るのを眺むれば、わが亭主をば恋しかるらん
文屋康秀
ゆるからに秋葉の町もしおれつつ、山も地震と人は言うらん
藤原義孝
君がため惜しからざりし命でも、この地震では逃げにけるかな
大弐三位
有馬山火のみの上はひどかろう、たった一人で怖い目をする
清少納言
夜を更けて鳥の鳴くまで、子僧さん道具の番はきっと許さじ
右大臣道綱母
嘆きつつ役者は皆な休み居る、いかに久しきものとかは知る
左京大夫道雅
今はただ往来絶えて八日より、一人立ちを問うすべしもがな
中納言行平
立ち出でて逃げゆく所は山の上、落ち着く時はまた帰り来ん
三条右大臣
何しおう二子の山も荒れぬれば、石が転げて来るよしもがな
海の音絶えつ久しくなりぬれば、また津波かと人は逃げけり
大納言公任
前大僧正行尊
もろともにあわれと思え大地震、藪より外に居る所はなし
陽成院
釣鐘も上より落つる大地震、音ぞ響きて耳へなりぬる
藤原清輔朝臣
泣きながら亭主は二度の大地震、湯(?)とよりも畑が悲しい
河原左大臣
道中へ倒れ伏したる大地震、地こそ開いて我れならなくに
大江千里
入りぬれば日々に心も悲しけり、わが身一人の事にはあらねど
源宗于
山里は揺るぞ久しく限りなく、人もその身も死すと思えば
壬生忠岑
ありがたきつづく天下のお膝元、水道の樋で江戸は汚れなし
順徳院
股引や古き襦袢で駆け出だし、あまりに強き地震なりける
英語訳
【Upper Section】
The beginning of the earthquake was generally in the morning. The story that Russian ships were caught in a tsunami might be false. After being struck by the great earthquake for three days, people's spirits were weakened and their eyes... (place names: Yotsuya, Honjo, Kubo-cho). The story that foreigners died in the tsunami... This earthquake made everyone's faces... (Kanda, Aoyama). The story that Mount Fuji collapsed in the earthquake might be true. In the great earthquake, legs trembled and eyes... (Teppōzu, Marunouchi). The time when the earthquake settled was generally at night... (Yatsuyama).
【Humorous Thirty-Six Poetic Immortals】
A collection of parody poems based on classical Japanese poetry (waka) from the Hyakunin Isshu and other sources, but with earthquake-related content substituted for the original themes. Each poem is attributed to famous classical poets but contains humorous observations about earthquake experiences, including:
- People fleeing and getting separated from their families
- Buildings collapsing and people being injured
- Actors taking breaks from performances
- Carpenters and craftsmen becoming busy with reconstruction work
- People preparing emergency supplies
- The psychological effects of aftershocks
- Observations about specific locations like Shimoda and Mishima
- References to Russian ships (likely relating to Commodore Perry's arrival)
- People's changed appearances due to shock and fear
- The contrast between Edo (protected by water infrastructure) and affected areas
The final poem mentions people running out in old undergarments and hakama trousers due to the strength of the earthquake.