翻刻
こゝにとうくわし【唐菓子?】の中にもずい一とよばれし
あるへいとう【有平糖】あまり人のそんき□うに
よりひにましおごりをきわめおふく【多く?】の
てしたをこしらへかねてひくわし山殿【干菓子山殿】
ひそふのちやわんをのぞみし所てにいり
よろこぶ
こん平らくがんにほう
こうしてあつかりのちや
わんをばいとりふく
りんとう【福輪糖・せんべいの一種?】とすがたを
やつしつぼの内へ入れ
あるへいとうへ
わたす
てしたのある平
こゝは酒の所た
がにがくて
のめぬ
ねんらいのそみしが
かたじけない
たいぎ〳〵
ほうびはのぞ
みしたい
でくわした
〳〵
現代語訳
ここに唐菓子の中でも随一と呼ばれた有平糖が、あまりに人からもてはやされたことにより、日に増して驕りを極め、多くの手下を従え、かねてから干菓子山殿秘蔵の茶碗を欲しがっていた所、手に入れて喜んでいる。
今、平落雁に「宝庫してあった例の茶碗を買い取り、福輪糖と姿を変えて壺の内へ入れ、有平糖へ渡せ」と命じる。
手下の有平「ここは酒の所だが苦くて飲めない」
「年来の宿願が叶い、かたじけない。大儀大儀、褒美は望みしだい」
「出来上がりました」