翻刻
投(ナケ)るに円(マルク)なりて落る事もあり又角
に成て落る事もあり長短(チヤウタン)嘗(カツ)て定ら
さるかことし連鼓(レンコ)を撃(ウツ)と云ふ事ある
により軈(ヤガ)て大鼓の撥(バチ)と名付けたる物
成へし是は気の落て質(カタチ)をなし
たる也又 電(イナツマ)の烈(ハゲシ)き光地に落て形を
なす事もあり星落て石と成かことし
星天にあつては気のみ也地に落て
質(カタチ)をなす也雷も又是に同し天にあつては
気のみなれとも地に落ては《ルビ:彘|イノコ》とも成 雞(ニハトリ)とも
猫(ネコ)とも人の形とも斧(ヲノ)とも楔(クサビ)とも成へし其
形は定るへからす是 皆(ミナ)造化(ザウクワ)の一理(イチリ)也《割書:雷公(ライカウ)墨(ボク)ノ|コトハ嶺表(レイヒヤウ)》
《割書:録(ロク)雷楔(ライケツ)ノコトハ沉括筆談(チンクハツヒツタン)雷斧(ライフ)|ノコトハ博物志(ハクフツシ)にアリ》夫雷といへは万物の
留滞(トヽコホリ)を通じ旱(ヒデリ)に雨を降し陽気を行ひ
陰を助(タス)くる物にして稼穡(カシヨク)を救(スク)へる神物也
若 雷(イカツチ)なくんは自(ヲノツカラ)稼穡実(タナツモノミノ)らす蒼民(サウミン)穀(コク)に憂(ウレヘ)ん