翻刻
替りあり程(テイ)子ノ云ク吾其方の官(クワン)にあたらば
此事|虚置(ヲカ?)まし我是を辨(ベン)ぜん仮令(タトヘ)大河
の塞(フサク)事あらん是天地の霊(レイ)にして宗廟(ソウビヤウ)
の祐社稷(タスケシヤシヨク)の福(サイハイ)也又|吏士(リシ)の功(カウ)也何んそ
其功を水獣(スイジウ)に帰(キ)すべからすなんぞ水獣(スイジウ)
《割書:龍 (レウ)ノ事|ナリ》人の衣冠(イクワン)を着(チヤク)せんやとそしり給へ
ば張子(テウシ)も退(シリソ)キぬ《割書:二程全 (ジテイゼン)|書 (シヨ)ニアリ》五雑俎(ゴザツソ)には蘇州(ソシウ)
東海に入事五六日|小(ちいさ)き嶋あり闊(ヒロ)き事
百|里(リ)四|面(メン)海水は皆|濁(ニゴ)れるに此所ばかりは
水の清(キヨ)し風(カゼ)なきに浪高(ナミタカ)く水上(スイシヤウ)あか〳〵
して日のごとし舟(フナ)人あへて近(チカ)づかず
是龍王宮(コレリウワウクウ)なり人の至(イタ)らざる所(トコロ)なれ共
数千(スセン)人して木を伐(キリ)木を拽(ヒク)の声(コエ)あり
夜明(ヨアケ)て見れは山(ヤマ)の木を伐尽(キリツク)したり
是海竜王(コレカイリウワウ)の室(しつ)を営(イトナム)なりといへり
予謂竜(ヨヲモヘリリウ)は水をもつて家とす豈(アニ)