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コレクション: 養蚕の書

機織彙編 5巻. [1] - 翻刻

機織彙編 5巻. [1] - ページ 41

ページ: 41

翻刻

【右丁】 一鬱金【注①】の粉を水へ入茶碗に酢を半分程入染る保【注②】し  二時斗り付【注③】置ことなり冬ならは湯にて染る又/棠梨(さわなし)【注④】の  皮を煎し明礬(めうはん)少加へて黄色を染るなり又/藎草(かりやす)【注⑤】  又/黄蘗(わうばく)【注⑥】皮/梔子(くちなし)【注⑦】実皆黄色染に用ゆ    黒色染方 一/梹榔子(びんろうし)一匁五分/石榴(じやくろ)【注⑧】一匁六分/五倍子(ふし)【注⑨】四匁五分  右をざつと煎し藍染の上に二返染て乾し冷たる  鉄漿【注⑩】を一返懸るなり    萌木色染方 一下地を藎草(かいやす)又【注⑪】黄柏にて染明礬にて留て其上を  花色に藍にて染るなり    金茶染方 一しぶ木にて染上鬱金の粉を糸の目方程入煮し【注⑫】染 【左丁】  其上に蘓木(すはう)を煎し懸て鉄漿糸三十目に付小蛤  貝に一ツ程入水三升にて能く交て村なく染る    鼠色染方 一/茄木(なす)の木を焼炭に成し能く摺て水にて延て  色を試み染る尤酢にて解染れは光沢ありて其  色良し    蘓木染方 一蘓木の能きを割り煎し唐の明礬を入不冷中に  染て晴天に干ば色【注⑬】し尤蘓木の煎方数多し委【注⑭】  く不記なり但し黄柏又/棠利(さはなし)を少し加ふべし  染るにも下地を黄色に染て後蘓木の汁にて一  番二番三番と煎し置三度染る    鶸(ひは)茶染 【注① NDLの翻刻本の注に「(鬱金)江戸時代に支那より渡来せるものといはれ、茗荷科の多年生草本。根莖を染料又は薬用香料とす」とある。】 【注② NDLの翻刻本では「保」に「但」を傍記】 【注③ NDLの翻刻本では「付」に「潰」を傍記。なお「潰」は「漬」の誤ヵ】 【注④ NDLの翻刻本の注に「(棠梨)べにりんご」とある】 【注⑤ NDLの翻刻本の注に「(藎草)禾本科の多年生草本。藎草を乾し黄色染料とす」とある】 【注⑥ NDLの翻刻本の注に「(黄檗)芸香科の落葉喬木。黄色の内皮、樹皮より染料をとる」とある】 【注⑦ NDLの翻刻本の注に「(梔子)茜草科の常緑灌木。果実を染料に用ふ」とある】 【注⑧ NDLの翻刻本の注に「(石榴)ざくろ。安石榴科の落葉小喬木」とある】 【注⑨ NDLの翻刻本の注に「(五倍子)ふし。白膠木(ぬるで)の枝葉に生ずる瘤状のものにして、これはあぶらむしの一種の産みつけし卵の孵化によつて生ずるもの」とある】 【注⑩ NDLの翻刻本の注に「(鉄漿)おはぐろ」とある】 【注⑪ NDLの翻刻本では「又」は「及」とあり】 【注⑫ NDLの翻刻本では「し」に「て」を傍記】 【注⑬ NDLの翻刻本では「色し」を「色よし」と補正されている。意味的にはその方が通じる】 【注⑭ 「委」は「悉」の誤ヵ。NDLの翻刻本では「委」に「悉」を傍記】

現代語訳

【右丁】 一、鬱金の粉を水に入れ、茶碗に酢を半分程入れて染める。ただし二時間ほど漬け置くことである。冬なら湯で染める。また棠梨(山梨)の皮を煎じ、明礬を少し加えて黄色に染めるのである。また藎草(刈安)、また黄檗の皮、梔子の実、皆黄色染めに用いる。    黒色染色方法 一、檳榔子一匁五分、石榴一匁六分、五倍子四匁五分。右をざっと煎じ、藍染めの上に二度重ねて染めて乾かし、冷たい鉄漿を一度かけるのである。    萌黄色染色方法 一、下地を藎草(刈安)及び黄檗で染め、明礬で定着させて、その上を薄い色に藍で染めるのである。    金茶染色方法 一、渋木で染め上げ、鬱金の粉を糸の目方ほど入れて煮て染め 【左丁】 その上に蘇芳を煎じてかけて、鉄漿を糸三十匁に付き小さな蛤貝一つほど入れ、水三升でよく混ぜて、むらなく染める。    鼠色染色方法 一、茄子の木を焼いて炭にし、よく摺って水で延ばして色を試して染める。もっとも酢で溶いて染めれば光沢があってその色が良い。    蘇芳染色方法 一、蘇芳の良いものを割って煎じ、唐の明礬を入れ、冷めないうちに染めて晴天に干せば色が良い。もっとも蘇芳の煎じ方は数多くあり、詳しくは記さない。ただし黄檗また棠梨を少し加えるべきである。染めるにも下地を黄色に染めた後、蘇芳の汁で一番、二番、三番と煎じ置き、三度染める。    鶸茶染め

英語訳

【Right Page】 1. Put turmeric powder in water, add about half a tea bowl of vinegar and dye. However, it should be soaked for about two hours. In winter, dye with hot water. Also, boil the bark of wild pear (sawanashi) and add a little alum to dye yellow. Also, kariyasu grass, phellodendron bark, and gardenia fruit are all used for yellow dyeing.    Black Color Dyeing Method 1. Betel nut 1 monme 5 bu, pomegranate 1 monme 6 bu, gallnut 4 monme 5 bu. Roughly boil the above, dye twice over indigo-dyed fabric and dry, then apply cold iron solution once.    Light Green Color Dyeing Method 1. Dye the base with kariyasu grass and phellodendron, fix with alum, then dye lightly over it with indigo.    Golden Brown Dyeing Method 1. Dye with astringent wood, add turmeric powder about the weight of the thread, boil and dye 【Left Page】 Then boil sappanwood and apply it, adding iron solution about the size of one small clam shell per 30 monme of thread, mix well with 3 sho of water and dye evenly.    Gray Color Dyeing Method 1. Burn eggplant wood to make charcoal, grind it well, dilute with water, test the color and dye. Especially if dissolved with vinegar for dyeing, it will have luster and good color.    Sappanwood Dyeing Method 1. Split good sappanwood and boil it, add Chinese alum, dye while still hot and dry in clear weather for good color. There are many ways to boil sappanwood, which are not described in detail here. However, a little phellodendron or wild pear should be added. For dyeing, first dye the base yellow, then prepare sappanwood juice in first, second, and third extractions, and dye three times.    Siskin Brown Dyeing