翻刻
かゝる所へかま田又八あそひ
にゆきてもどり此ていを
はるかにみのけやが
てかのいぬをとらへ
□はあらて 下あ
こにもろ
てをかけ
ひきさ
きころし
ける
うば又八か ちか
らをみて
きもをつぶし
ける
につくいのらいぬめおれが
ひそうのにはとりをころ
したかはり
おもひ
しら
せん
ゑいや
うん
と
な
かま田又八かたより一里ばかりへだてし
山里におば【次のコマにあり】ありけるがひさしくあわさり
しゆへはなしにゆかんと夕ぐれよりこゝろ
さし行けうころしも山ぢさみしくこのはちりみたれ
いとものすごく折から三つめの大入道みちにたち
ふさかりさまたげ
ける
わつ
はめ
あたまから
かり〳〵と
かむぞよ
おれ
に
む
かつて
わつ
よば
わりふ
と印
な
け
つり
まはし【削りまわし=剃髪をバカにして言う語】
かだ【?】
現代語訳
そこへ鎌田又八が遊びに行って帰り、この様子を遥かに見て、やがてあの犬を捕らえた。しかし、[判読困難]ではなく、下顎に両手をかけて引き裂き殺してしまった。
乳母は又八の力を見て肝を潰した。
「憎い野良犬め。俺が大切にしていた鶏を殺した代わりに、思い知らせてやろう。」
「えいや、うん」となった。
鎌田又八の里より一里ほど隔てた山里に伯母がいたが、久しく会っていなかったので、話をしに行こうと夕暮れから心を向けて行った。ちょうどその時、山道は寂しく、木の葉が散り乱れてとても物凄い様子であった。折から三つ目の大入道が道に立ち塞がって邪魔をした。
「わっぱめ、頭からがりがりと噛むぞよ」
「俺に向かってわっぱ呼ばわりとは、太い奴だ。けつりまわし頭が」
英語訳
At that moment, Kamada Matahachi returned from his play and saw this scene from afar. He immediately caught that dog. However, [text unclear] he placed both hands on the dog's lower jaw and tore it apart, killing it.
The wet nurse was horrified seeing Matahachi's strength.
"Cursed stray dog! In return for killing my precious chicken, I'll make you understand."
He cried "Eiya, un!"
In a mountain village about one ri distant from Kamada Matahachi's home lived an aunt, but since he hadn't seen her for a long time, he set his heart on going to talk with her from evening. Just then, the mountain path was lonely, with leaves scattered about in a most eerie manner. At that moment, a three-eyed giant demon blocked the road, obstructing his way.
"You brat! I'll crunch your head and devour you!"
"To call me a brat to my face - what nerve! You shaven-headed fool!"