翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

間違狐之女郎買 / 市場通笑作 - 翻刻

間違狐之女郎買 / 市場通笑作 - ページ 2

ページ: 2

翻刻

てつほうづの へん玉屋 新兵衛といふもの しゆつしやうは江戸むまれなれど 江戸のものとはうけとるものは なくいつたいかたちのこしらへも とうせいはすこしもなく あをちやつむぎの□【は】をりに【別資料で確認】 とうざんとめ小そて【唐桟留小袖】あるいは すゝたけのはをり【煤竹(色)の羽織】はないろの こそで八丈なとはやう〳〵 きせるづゝにばかりにと 見へるふうそくなんても うちば【内端=内気】に見へる 所がおもひのほか からみそをぶち あげ【味噌を上げ=自信満々に】けんやくかましき ことはすこしもいわすはじめて ほりのふなやと【船宿】よりつゝかけにゆく 【台詞】 どこといふあても       なし        さ さよふても こざり   ます    まへ

現代語訳

鉄砲洲の 変玉屋新兵衛という者、 出生は江戸生まれなれど、 江戸の者とは受け取る者はなく、 いったい容姿の身なりも 当世風は少しもなく、 青茶色木綿の羽織に 唐桟留小袖、あるいは 煤竹色の羽織に鼠色の 小袖、八丈などをやっと着て、 煙管筒にばかりこだわって 見える風俗なんでも 内気に見える ところが思いのほか からし味噌をぶちあげ (自信満々に)、倹約がましい ことは少しも言わず、初めて 堀の船宿より続けて通って行く 【台詞】 どこということもなく ございませんさ そのようでも ございます まえ(様)

英語訳

A man called Henjamaya Shinbei from Teppōzu, though born and raised in Edo, no one would take him for an Edo native. His overall appearance and dress have nothing fashionable about them whatsoever. He wears a blue-brown cotton haori over a karasan-stripe kosode, or else a soot-bamboo colored haori with a mouse-colored kosode, or hachijō silk, barely managing to dress himself. He seems to care only about his pipe case and tobacco pouch. Though his attire makes him appear timid, unexpectedly he puts on airs with great confidence, never saying anything miserly, and for the first time heads out from a boat inn at the moat. 【Dialogue】 "There's no particular place..." "Even so, yes sir"