翻刻
【右丁】
さくらたけ
菌史に載る所の図
同書に古木のさくら
の根に生すといへり
【右中央】
むくけたけ
むくけもたし
看過に載る
所の図
【左中央】
菌史に木槿(むくけ)の朽株(くちかふ)に生す
ゑのきたけに似て質(しつ)肥(こへ)香味
則及はす越後の人多く取
庖供(ほうけう)に充つといへり
【左丁】
かきたけ
看過に載る処の図
菌史に蓋茎(かいけい)皆 褐(うるみ)色
又 赭(しや)色者あり形しい
たけに似て痩(やせ)小く柔
脆 中(なか)虚(きよ)冬月 藁(わら)を朽
柿(かき)の根に蔽ひ米泔(しろみつ)を
澆(そゝき)て宿をふれは即ち
生すといへり
現代語訳
【右丁】
さくらたけ
菌史に載っている図。
同書によると古い桜の木
の根に生えると書かれている。
【右中央】
むくげたけ
むくげもたし
看過に載っている
図。
【左中央】
菌史によると木槿の朽ちた株に生える。
えのきたけに似ているが質は劣り、香味
も及ばない。越後の人が多く採取して
料理に使うと書かれている。
【左丁】
かきたけ
看過に載っている図。
菌史によると傘と茎が皆褐色で、
また赤褐色のものもある。形は椎茸
に似ているが痩せて小さく、柔らかく
脆い。中は空洞。冬月に藁を朽ちた
柿の根に覆い、米のとぎ汁を
注いで一晩おけばすぐに
生えると書かれている。