翻刻!いきもの図鑑

コレクション: 本草図譜(くずし字)

本草図譜. 巻55-57 - 翻刻

本草図譜. 巻55-57 - ページ 39

ページ: 39

翻刻

【右丁】 牛のかわたけ くろはち  じやくひ《割書:江|州》 じやくい《割書:勢|州》 くろご  地踏菜(ちとうさい)《割書:救荒|本草》 紗羅請(しやらせい)《割書:野菜|博録》   地皮(ちひ)《割書:河間|府志》  庶物写生(しよふつしやせい)に載る図也菌史に同書を引て  秋の間樹下燥地に生し面黒色牛の背(はい)に  似て底白く蜂窠眼(ほうくはかん)をなす傘張ること二三  寸より五六寸に至る短脚(たんきやく)半は土中に《振り仮名:隠|か■【れヵ】》れ  味ひ少(すこ)し苦(にかし)といへり大和本草に地皮は地踏(ちとう)  菜(さい)と同物なるへし《振り仮名:陰湿|■【おヵ】んしつ》の地或は雨後 地(ち)  より生す恐(おそら)くは毒あらん食ふへからすと  いへり 【左丁】 うすたけ  菌史に載る図也同書に武州  向島(むかふしま)秋葉(あきは)に生すといへり又日 矮(わい)  脚(きやく)にして《振り仮名:■|■【さヵきヵ】ん》【注①】上に仰(あを)き筩(ふへ)【注②】の形を  成す亦臼の状に似たり故に名  く淡黄褐色 別(へつ)に■【注③】を生す  摺(せう)の如く茎皆淡黄 微(すこ)し紫  色を帯ふ大者四五寸に至る  又 純(しゆん)白色者あり及 匕子(さし)の如  くにして仰き巻(まき)黒褐 黄摺(わうせう)の者  形甚小く山人稀に取これを食  味ひ美(ひ)ならす或は云小毒あり  食ふへからすといへり 【注① ■は「糸+吉+攵」・「繖」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブでは「微(すこし)」(『本草図譜巻之55・56』コマ43 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676193)】 【注② 「筩」の「竹」は書き直している。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「𰩵」。】 【注③ ■は「衤ヵネヵ+艹+間」。「襽(襴)」ヵ「襉」ヵ「𫌙」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「ネ+艹+間」。】 【二十行目文末「矮」は書き直しているように見える】

現代語訳

【右丁】 牛のかわたけ くろはち  じやくひ(江州) じやくい(勢州) くろご  地踏菜(『救荒本草』) 紗羅請(『野菜博録』)   地皮(『河間府志』) 『庶物写生』に載せられている図である。『菌史』に同書を引いて、秋の間、樹下の乾燥地に生え、表面は黒色で牛の背に似ており、底は白く蜂の巣のような穴を成している。傘の張りは二、三寸から五、六寸に至る。短い脚の半分は土中に隠れている。味は少し苦いという。『大和本草』に「地皮は地踏菜と同じ物であろう。陰湿の地または雨後に地より生ずる。恐らくは毒があるだろう。食べてはいけない」という。 【左丁】 うすたけ 『菌史』に載せられている図である。同書に「武州向島秋葉に生ずる」という。また「矮小な脚をして傘の上に仰向きの筒の形を成す。また臼の状に似ている。故にこの名がある。淡黄褐色で、別に襞を生ずる。摺のようで、茎は皆淡黄色で微かに紫色を帯びる。大きいものは四、五寸に至る。また純白色のものがあり、匙子のようにして仰向きに巻いている。黒褐色で黄色い摺のものは形が甚だ小さい。山人が稀に取ってこれを食べるが、味は美味しくない。あるいは小毒があり食べてはいけない」という。