翻刻
【右丁】
【右中央】
うすたけ
《振り仮名:蝦夷記行|■【ゑヵえヵ】そきかう》
に載る図
【上中央】
うすたけ
信陽菌
譜に載
る図
【左丁】
稠膏蕈(てうかうしん)《割書:集|解》 あふらしめし
ぬめりたけ ぬめりしめし ぬめたけ
菌史に載る処の図なり皇和蕈譜に
此亦 玉蕈(きよくしん)《割書:しめ【ろヵ】し|めし》【注①】なり《割書:中|略》下総在原山中に
産す秋月 盛(さかん)なりといへり菌史に■(さん)【注②】張(てう)
て黄しめしの如くにして大に面 黄褐(わうくわう)色
■(らん)【注③】甚 深(ふか)く茎と皆白色 粘滑(ねんくわつ)なること
膏油(かうゆ)の如く微し■(やわらか)【注④】に鮮美(せんひ)宜く羹(かう)と
作す山陰樹下及ひ茅紫の中に生す
和泉二州多有といへり武州志村に
にてひめしたけと云もの食して味ひ
佳(か)なり
【注① 割書右行の「め」は「ろ」に書き直しているヵ。国立公文書館デジタルアーカイブでは「しろしめし」(『本草図譜巻之55・56』コマ47右丁 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676193)。】
【注② ■は「糸+亠+ム+口+攵」・「繖」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「繖」、ルビ「かん」。】
【注③ ■は「ネ+艹+間」。「襽(襴)」ヵ「襉」ヵ「𫌙」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「衤ヵネヵ+艹+間」。】
【注④ ■は「韋のヰが干」+「欠」・「軟」ヵ。「靭(韌)」ヵ(コマ29 注②参照)。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「菫の下の横棒が二本」+「刃」・「靭」ヵ。ルビは「まはら」。】
【二十一行目末尾~「張(てう)て」は「張して」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「張(はつ)て」。】
現代語訳
【右丁】
【右中央】
うすたけ
『蝦夷紀行』
に載せられている図
【上中央】
うすたけ
『信陽菌譜』に載せ
られている図
【左丁】
稠膏蕈(ちゅうこうしん)《集解》 あぶらしめじ
ぬめりたけ ぬめりしめじ ぬめたけ
『菌史』に載せられている図である。『皇和蕈譜』にはこれもまた玉蕈(ぎょくしん)(しろしめじ)であるとしている(中略)。下総の在原山中に産し、秋月に盛んになるという。『菌史』には傘を張って黄しめじのようでありながら大きく、表面は黄褐色、ひだは甚だ深く、茎とともに皆白色で、粘滑なことは膏油のようで、わずかに柔らかく鮮美で、よく羹(スープ)にするのに適している。山陰の樹下及び茅や紫草の中に生える。和泉・二州に多く有ると言われている。武州志村においてひめしたけと言うものを食したが味が良かった。
英語訳
【Right page】
【Right center】
Usutake
Drawing recorded in
"Ezokikō" (Ezo Travel Record)
【Upper center】
Usutake
Drawing recorded in
"Shinyō Kinfu" (Shinano Province Mushroom Manual)
【Left page】
Chōkōshin (Viscous Oil Mushroom) "Shūkai" - Aburashimeji
Numeributake, Numerishimeji, Numetake
This is a drawing recorded in "Kinshi" (Mushroom Chronicle). In "Kōwa Shinfu" (Imperial Japanese Mushroom Manual), this is also described as Gyokushin (jade mushroom) or shiroshimeji (white shimeji mushroom) (omitted). It grows in the mountains of Zaihara in Shimōsa Province and flourishes during the autumn months. According to "Kinshi," it spreads its cap like the yellow shimeji but is larger, with a yellow-brown surface and very deep gills. Both cap and stem are white in color, viscously smooth like oil, slightly soft and delicately flavored, well-suited for making soup. It grows under trees in shaded mountains and among miscanthus and purple grass. It is said to be abundant in Izumi and other provinces. I tasted what is called himeshitake in Shimura, Musashi Province, and found its flavor excellent.