翻刻!料理本の世界

コレクション: コレクション 1

御前菓子秘伝抄 - 翻刻

御前菓子秘伝抄 - ページ 4

ページ: 4

翻刻

【右丁】 古今名物御前菓子秘伝抄序 禁中(きんちう)御/黒戸(くろと)といへる一間(ひとま)あるは いにしへの帝(みかと)。まさねことせさせ給へ る御料理(おんりやうり)の間(ま)のふすぼれるなり とう最明寺(さいめやうし)時頼(ときより)の棚(たな)さかしして土(かはら) 器(け)につける味噌(みそ)をもてはやし給 【左丁】 ひけんも手(て)つからみつから調(てう)し給へる たのしみを興(けう)せられける。まして菓子(くわし) 類(るい)の風味(ふうみ)は紫式部(むらさきしきぶ)かすさひにもはか なきくたものをたにと書(かゝ)れてうへか うへなるつかさ位(くらゐ)にめし給ふはした〳〵の いやしき手(て)にかゝへき事(こと)かは豆腐(たうふ)を

現代語訳

【右丁】 古今名物御前菓子秘伝抄序 禁中の御黒戸という一間があるのは、昔の帝が政事をなさった料理の間が古びたものである。かつて最明寺時頼が棚を設けて土器に入れた味噌を愛用されたのも、 【左丁】 自ら手ずから調理される楽しみを興じられたのであった。ましてや菓子類の風味については、紫式部が「はかなき食べ物でさえ」と書いているように、上々の身分の方々がお召しになるものを、身分の低い者の手で扱えるものだろうか。豆腐を

英語訳

【Right Page】 Preface to the Secret Transmission of Ancient and Modern Famous Confections for the Imperial Table There is a room called the "御黒戸" (On-kuroto) in the imperial palace, which is an aged cooking chamber where emperors of old conducted governmental affairs. When Saimyōji Tokiyori set up shelves and favored miso kept in earthenware vessels, 【Left Page】 he was enjoying the pleasure of cooking with his own hands. How much more so with the flavors of confections - as Murasaki Shikibu wrote about "even ephemeral foods" - when these are consumed by those of the highest court ranks, how could they be handled by the hands of those of lowly station? Tofu...